GOAL!

監督■ダニー・キャノン(『ラストサマー2』)
出演■クノ・ベッカー(『ジャスティス 闇の迷宮』)
     実在の選手(ベッカム、ジダン、ラウール他)
配給■東芝エンターテイメント
     公式HP こちら
(C)Goal Limited 2005.

 ワールドカップ・イヤーにFIFA(国際サッカー連盟)の公認を取り、実在のチームと選手を出演させ、OASISの曲がバンバン流れる、絵に描いたような「商業主義映画」。でもこれがバツグンに面白いんだからしょうがない。
  プロデューサーを見たら、ローレンス・ベンダー。タランティーノを発見し、マット・デイモン/ベン・アフレックの脚本をガス・ヴァン・サントに撮らせてアカデミー賞を獲得した、目利き。スポーツもので3部作というチャレンジングな企画も納得である。
  監督のダニー・キャノンは『ジャッジ・ドレッド』を撮った人と同じとは思えないなかなか鮮やかな手腕を見せる。良い意味でMTV的(音楽ビデオ的)映像で、テンポ良く見せる。
  物語は定番中の定番である「父親との確執」を軸に、文句ないサクセス・ストーリーが展開される。メキシコから亡命した少年が、ロサンジェルスの最下層からはい上がる、アメリカン・ドリーム。
  作りの甘さや、ツッコミどころはいくつもあるが、そんなことを押し切るドリブル力のある映画だ。
  第2部はレアル・マドリードが、第3部は今度のワールドカップが舞台となるらしい。
 

  監督なり脚本家なりが「ちゃんとしたスポーツもの」の「作品」を作ろうとすると、どうしても「苦悩」とか「挫折」が主要テーマになる。熱いサウナでじっとガマンするから、外に出た時の「喜び」があるわけで、絶対に必要なものなのだが、作り手はもちろんのこと、俳優も体型を変えちゃったりして意気込み、それゆえにたいてい全体として重苦しくなりがちだ。
  しかしそんなに「苦悩」シーンが続いたら、OASISの曲がかけられなくなってしまう。それではサントラが売れないので…という理由ではないだろうが、ここでは「苦悩」や「挫折」は最小限に止めてある。いい意味で、作家性とは無縁なのだ。
  名曲でもなんでもなく、作曲者も歴史に残ろうなんてこれっぽっちも考えてないが、みんなが思わず口ずさんでいるノリのいいポップスという感じ。つまり誰もが20分もサウナに入っていたいわけではない。5分でも効果的に入れば結構気持ちいいんだということを証明してみせる。
  編集者が非常に優れているのか、音楽と映像のシンクロ率が高く、思わず踊り出してしまいたくなるシーン多し。それにしても、サッカーとラテンミュージックのあの相性の良さって何だろう?


時間表は>こちら

『チェケラッチョ!!』  『アンジェラ』
『ブロークン・フラワーズ』PG-12
『名探偵コナン』 『Vフォー・ヴェンデッタ』

 

『トランスポーター2』 『ブギーマン』
『ポセイドン』 『ココシリ』
『花よりもなほ』 『佐賀のがばいばあちゃん』


続々お申し込み、来ております! あなたもぜひ!



vol.8 カビラ・ブラザーズ


  サッカーのお話。もといフットボールのお話。
 いよいよであります。ワールドカップの開幕まであとわずか。皆さんは、どんな所でどんな人達と観戦されるのでしょうか? やっぱり、サッカーをみるのなら大勢で盛り上がるのがベストなのでしょうか?
  僕も前回の大会は興奮のあまり大量のお酒をいただきまして、記憶のないまま公園で発見される(『マジェスティック』ですな)という大失態を披露してしまいましたが…。しかし、大勢で声援を送る(いわゆる念を送る)というのは良いものです。いつもは人前で感情を表に出さない僕も(?)サッカーを観戦している時は、我を忘れてしまうのです。そんな感情表現を教えてくれたのが何を隠そう、

 ジョン・カビラ氏なのです。

 JーWAVEのナビゲーターの彼。ここ十数年、彼の朝の番組(『グッドモーニング、ベトナム』ですな)を聞くのが僕の日課。普段はクールな語り口の彼が、ことサッカーの話題になると大爆発。もうたまりません。朝からテンションが上がる上がる! そして、テンションが最高潮に達しても、リスナーに対しての気遣いを忘れず、言葉を選んで話される。

 確実に良い人です。

 サービス業に関わる人間として良いお手本であります。
 そんな彼に、弟・川平慈英氏がいる事を知ったのは、番組を聞き始めてしばらく経ってから。あれはまだJリーグがゴールデン枠で放送されていた頃。2人揃って副音声での実況。(副音声と言えばクリス・ペプラー氏も巨人戦でやってましたな)
「ジェイさん」
「ジョンさん」と兄弟なのに「さん」付け。兄弟揃って良い人だ。さらに2人で

「サッカーはアートだ〜!」

 と絶叫(もはや岡本太郎先生的な言葉ですな)。
 決まりました。この瞬間、僕の中でサッカーとはこうやって楽しみ、泣くものだと。もはやこの事は、僕だけでなく2人のその後のサッカー番組の出演数が急増した事から考えると、日本のサポーター文化を10年は前進させたのではないかと思うわけです(強引ですか? いいんです)。
 そんなカビラ・ブラザーズのサッカーに対する熱い想いが実感出来る映画現在公開中です(前フリ長かったですか? いいんです)。

 『GOAL!』 主人公はサッカー選手。でもサッカーに対する熱い想いは、我々サポーターも同じだと思っております。と言うより、サッカーでなくとも、何かの目標(人はそれを夢と呼ぶんだぜ! ってサンボマスターみたいですな)に立ち向かう姿勢。これが見事に描かれている作品。まさにカビラブラザーズと同じものがです。
  脚本やら演出やら考えて観ないほうが良い作品なのです。さらには逆にサッカーを知らない人の方が楽しめるのかも知れません。だってベッカムやジダン、シアラーなんて有名選手が出てくると「あっ、演技してるっ。演技してるね。演技してるYO」なんて余計なこと考えてしまいますからね。ぜひワールドカップ前に観ておきましょう! 熱い気持ちの予行練習を!

追伸
 ちなみに日本語吹替え版では、実況アナウンサー役の声をジョン氏があてているそうで。
 まさに、そのまんま!これほどまでに完璧なキャストはありませんな。
 しかし、残念な事に当劇場では日本語吹き替え版の上映が未定でございます。むむむ残念。ご慈愛くださいまし。
 

 先週は『サイドウェイ』にお越しいただきましてありがとうございました。初日限定ワイン試飲会も、まずまず好評で、胸をなで下ろしています。しかしワインは予定より大量に余ってしまい、試飲会は結局毎日行いました。とはいえ、予想外のことで、何度か人員が足りず伺えなかった回もありましたことをお詫びします。また何かきっかけがありましたらこのような企画に取り組んでいきたいと考えていますので、お楽しみに。

 さて、第6回シネマカウンシルのレースも後半を迎えており、『カタクリ家の幸福』が圧勝中であります。正直個人的には、新しい作品が選ばれるのはちょっともったいないという気がしないでもないですが、これも投票制ゆえのおもしろさ、『ブレイブ』もこちらの予想では勝つとは思いもよりませんでしたから。

 とはいえ、まだ3日残っています。くどいようですが、数千名様の会員数に対し、たったの数十票差なわけですから、ちょっと本気になればすぐに逆転するわけです。終盤まで投票を取っておいている方もいらっしゃるのでは? まだまだわかりません。まだの方は 忘れないうちに、さあ、投票を!

 作品決めに迷ったら先週号のミニ解説も参考に(こちら)。

投票は>>こちら
シネマカウンシルって何?という方は >>こちら
真田風雲録 VHS発売中 ¥5,250 東映ビデオ
カタクリ家の幸福 DVD発売中 DA-0169 税込\4,935 販売元:松竹(株)ビデオ事業室
(C)2001 カタクリ家の幸福製作委員会
ああ爆弾 DVD発売中 ¥4,725(税込) TDV16049D 発売・販売元:東宝 (C)1964 TOHO CO.,LTD.


 久しぶりに、映画の話を。

 先日、やっと気になっていた『プラハ!』を観た。すっかり読者の皆様にはおなじみシネマヴェーラ渋谷と同じビルに入っているQ−AXシネマにて、レイトショー公開。関東地方で観られるのはここだけ。2001年に作られてやっと今年日本公開のチェコ映画。
  1968年「プラハの春」を迎えていたチェコを舞台に、高校生たちの輝くような恋と青春の日々をミュージカルで描く。
 
  最高の料理人が、最高の素材を使い、最高の道具で、最高の調理をすれば、最高の料理はできるだろうが、それでも到達できない「地点」がある。音楽や絵画や演劇も同様、創作には「何か」が加わらなければ「傑作」にはなれない。
  『プラハ!』は無名の監督、無名の俳優、チェコという映画製作にとって恵まれているとは言い難い国で作られているにも関わらず、しかし、その「何か」を手にしている。

 スピルバーグ『ミュンヘン』、ウディ・アレン『僕のニューヨーク・ライフ』、アレクサンドル・ソクーロフ『ファーザー、サン』、ジム・ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』、と映画史に燦然と輝くビッグネームの作品が次々と公開された今年度上半期において、私的最高作。この映画には「創造の女神」が微笑んでいる。

 とびきり可愛い女の子たちが、カラフルでキュートなミニスカートで、キッチュでポップな60'sサウンドに合わせて歌い踊れば、スクリーンからこぼれるようにミュージカルの楽しさがあふれだす。これほどの幸福感を味わったのは、いつ以来だろう?
  ものすごく丁寧に再現された60年代の音と映像は、本物の過去映像と見紛うほど。しかしただフワフワと漂うようなスタイルだけのアート作品ではまったくなく、「プラハの春」の熱に浮かされたような陶酔感と開放感を、若者の心に託して語るという骨組みがしっかりした作品なのだ。娯楽映画の王道の王道を行く、世界中で共有すべき「宝石」である。
 
  この映画は、僕のライブラリーの特等席に、生涯にわたって並べられることになるだろう。

  こんな素晴らしい作品が、渋谷の映画館だけの、しかもレイトショーの公開で、たいして話題にもならずに消え去っていくことに、いたたまれない思いがする。僕はこれをただ指をくわえて見過ごすのか。ならば映画館で働くことなんか辞めてしまえばいい。くそっ、シネマカウンシルでもなんでも使って、いつか、きっと。

表紙の顔 …

左:川平慈英 右:ジョン・カビラ。原口画伯はワールドカップに夢中。「SEEKのカラーをサムライ・ブルーにしろ」と指令が下り、開催中はこのままやれ、とのこと。だが『GOAL!』はサッカーに興味も知識もなくても、本当に面白い。やらせではないです。


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