オーケストラ!




(C)2009 - Les Productions du


監督・脚本■ラデュ・ミヘイレアニュ
音楽■アルマン・アマール『サガン、悲しみよこんにちは』
出演■アレクセイ・グシュコブ
■■■メラニー・ロラン(『イングロリアス・バスターズ』)
配給■GAGA





 今はしがない劇場掃除夫、だけど昔は天才オーケストラ指揮者!
 そんなアンドレイが見つけた、最後のチャンス! それは、支配人室に届いた、パリからのFAXでの演奏依頼。
 思わずちょろまかし、一大決心。かつての仲間を集めて「偽ボリショイ交響楽団」としていざ夢のパリへ!
 
 ごまかしの笑い、ダマしのスリル、実は隠されていた秘密の重厚、圧倒的な交響楽!
 フランスではあの『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』を越えるナンバー1ヒットを記録した、これこそ映画の幸福を詰め込んだ幕の内エンタテイメント。

 出演はアレクセイ・グシュコブ、『コーラス』のフランソワ・ベルレアン、そして輝くような美貌にうっとりしてしまうメラニー・ロラン! 『イングロリアス・バスターズ』のあの女性。監督は『約束の旅路』のラデュ・ミヘレイアニュ。

 人間ドラマに泣き笑い、そしてチャイコフスキーにバッハにハチャトゥリアン、モーツァルトにマーラーと豪華絢爛な音楽の数々を、シネマシティがデジタル時代の先を提示する音響システム「Kicリアルサウンド アナログ」で存分にご堪能あれ。

 
 




 コメディのマイスター(巨匠)、ビリー・ワイルダー監督が得意とし、それに憧れた三谷幸喜監督が自家薬籠中のものとした見事な冴えを見せる「なりすましの喜劇」。
 たいていリアリズムは無視され、ありえない勘違いのバカバカしさの笑いと、バレるバレないのスリルで見せるこのジャンルは、最後には「本物/偽物」の本質的な違いは何か? という主題をあぶり出して、胸にグッとくるドラマを醸成することも出来る。

 ワイルダーの傑作『お熱いのがお好き』では「血のバレンタイン」と呼ばれるギャングによる虐殺事件を目撃してしまったミュージシャン2人が追われる身になり、なんと女性楽団に紛れ込む。その楽団に女装して加わるというのだからバカバカしいことこの上ないが、笑えるったらない。そのぶざまなオカマちゃんたちに、美女中の美女、マリリン・モンローを並べて見せる面白さ。

 三谷監督作品『ザ・マジック・アワー』ではギャングのボスの女と出来てしまったヤサ男が助かるため、伝説の殺し屋を連れてくるとボスをダマし、さらに売れない映画俳優を伝説の殺し屋の役の撮影だと偽ってのダマしの二重構造で、まったくかみ合わない役者とボス、そして間でオロオロするヤサ男の芸術的なまでに見事な「ゴマかし」で笑わせた。

 本作ではしかし「交響楽団」になりすまそうというのだから、大変だ。人数が違う。
 かつてソ連政府の「ユダヤ人排斥」によって楽団を追われた仲間たちを当たるのだが、30年という時が流れているだけに、それぞれがたくましく自分たちの「商売」を持って生きている。ここらへんは『七人の侍』よろしく仲間集めの面白さが高まるのだが、決定的に違うのは今作がコメディであること。まあ次から次に奇態な人々が登場してくる(笑)。

 しかしただ自分の「夢」を果たしたい、という中年男の妄想だけでなく、実はここまでの強い思いには隠された理由があって…というもう一つのドラマが今作を単なるお笑い映画にしない。時代の悲劇が、映画を強靱にする。

 そして可笑しみも悲しみも、すべては交響楽の調べに包み込まれる。音楽の魔法。
 その時には、身体の奥が震えるような感覚が、きっと訪れる。



 
 
  〜4/22(木)
 


シャーロック
ホームズ


スパイアニマル
Gフォース 2D
(吹替)


ダレン・シャン
吹替


誰かが私に
キスをした
23日(金)まで


 
  〜4/30(金)
 


NINE
28日(水)まで


ライアーゲーム
ザ・ファイナルゲーム

 

 


 
    4/24(土)〜
 


ウルフマン
23日(金)から


タイタンの戦い
2D 吹替/字幕
23日(金)から


銀魂


てぃだかんかん


武士道
シックスティーン
 
 


プレシャス
R15+






 
    4/29(土)〜
 


矢島美容室
夢をつかまネバダ


ゼブラーマン
ゼブラシティの逆襲
5/1(土)から





 
    5/8(土)〜
 


9 ナイン
9番目の奇妙な人形


TRICK
霊能力者
バトルロイヤル





 
    5/15(土)〜
 


グリーン・ゾーン
14日(金)から


僕たちの
プレイボール


パリより
愛をこめて
R15+


書道ガールズ


 
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今週は原口画伯の都合によりお休みです。




 「何かが作られていく過程」は、映画になる。

 たとえば「城」だったり、「芝居」だったり、「レストラン」だったり、「ライヴ」だったり。
 なぜならそこにはスムーズに情熱と、技術と、葛藤と、栄光が、編み込まれていくからだ。
 
 今回観させてもらったドキュメンタリーでは、それは「カヌー」だった。
 南米チリから、人類誕生の地アフリカのタンザニアまでの人類拡散の「旅」を逆に追っていく「グレートジャーニー」の冒険家、関野吉晴氏の新プロジェクトは、日本人のルーツを辿る「旅」として、インドネシアから沖縄へとカヌーで渡るというもの。

 このプロジェクトに、武蔵野美術大学の教授でもある氏は、学生や卒業生らを引き込んで、共に作り上げていく。
 映画では、この過程を追う。もちろん今作の演出、編集、撮影も彼らによって行われている。タイトルは『僕らのカヌーができるまで』

 このプロジェクトのコンセプトは過激なもので、出来うる限り自然から自分たちで採取したもので、文明の利器の力を借りず、一から作り上げようというのだ。目的としてはカヌーでインドネシアから沖縄まで行くということなのだが、そもそもそのカヌーを自作しよう、しかもその材料となる樹を伐る道具から自作しようというのである。

 学生らは、カヌー班、縄班、保存食班と分かれ、それぞれに根源的なところから最初の一歩を踏み出し始める。
 カヌー班は、まずは斧を作るために海岸で砂鉄を集める。縄班は多摩川に植物を採集しに行く。保存食班は学校内のドングリやトチの実を拾い歩く。

 集められた材料たちを、エキスパートたちの力を借りながら、カタチにしていく過程には引き込まれる。
 『もののけ姫』でも描かれた「たたら製鉄」で、粉末だった鉄が、溶岩か隕石のようなカタマリになる。
 新潟の山熊田という村のおばあちゃんに教えてもらって、トチの実の皮をむき、アクを取り、餅にする。
 葛を煮て、発酵させ、できた繊維を足指に絡めて編んでいく。

 やがてそれぞれの製作物は、インドネシアでのカヌー作りに収斂していく。
 赤道直下の国だけあって、蒼い海、鬱蒼と繁る森など、フォトジェニックな風景が画面に高揚感を与える。
 巨木が倒れ、それがその場で斧で削られて、舟の体裁になっていくダイナミックな製作場面には興奮を覚えずにはいられない。
 
 誇張なしに、これは「面白い」作品だ。
 エコとかなんとか、そういうお説教臭いところが無いのもいい。若者の、素直なモノ作りの幸福だけが伝わってくる。

 いわゆる学生映画という括りに入るのかも知れないが、内容はそのカテゴリーを遙かに越えた充実がある。
 それでも今作には手作りの感触が残っている。それは、舞台挨拶で共同監督のひとり、鈴木純一さんがおっしゃっていた「僕らもまた参加者のひとりだった」という言葉がすべてだろう。
 プロフェッショナルのジャーナリスティックな視点ではなく、カメラも、スクリーンの中の学生たちや僕ら観客たちと同じように、目の前のものに、驚き、困惑し、感動しているのだ。


 『僕らのカヌーができるまで』はポレポレ東中野で上映中。4/30まで。レイトのみの興行なので、若干ハードルは高いが、足を運んで損はないだろう。

(C) 僕らのカヌーができるまで 製作委員会
 

今週の顔

千代の富士。『ウルフマン』23日(金)から上映スタート。昭和のネタでござんす。わからなければ、30歳以上の人に聞こう。

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