チェンジリング PG-12


(C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

監督■クリント・イーストウッド(『硫黄島』2部作)
脚本■J・マイケル・ストラジンスキー
音楽■クリント・イーストウッド
出演■アンジェリーナ・ジョリー(『ウォンテッド』)
■■■ジョン・マルコヴィッチ(『クリムト』)
配給■東宝東和
2月20日(金)スタート




 失踪した息子が5ヶ月ぶりに帰ってきたという報を受けて、母親は迎えに行ったが、その少年は別人だった。にも関わらず、警察は驚くべきことにその子を息子と認めろと迫る。面子を守ることしか考えず、母と子というこの世で最も深く固い絆を踏みにじろうという「権力」の横暴に、希望を失うことなく立ち向かっていく女性を描く社会派サスペンス。驚くべきことに実話を元にしている。
 
 監督は巨匠クリント・イーストウッド。重厚な人間ドラマを描かせたら絶品の監督の新作は、ふくれあがった期待をもまったく裏切らない。劇場の灯りが落ち、マイルス・デイヴィス風のすすり泣くようなミュート・トランペットが流れ始めた瞬間から、真に優れた作品だけが持ちうる「風格」がスクリーンから漂い始める。

 また主演のアンジェリーナ・ジョリーが実に素晴らしい。おそらくキャリア・ハイであろう。『ウォンテッド』の女王様キャラから一転、泣いてばかりいる線の細い、しかし意志は強靱な母を美しく演じて意表をつく。

  アカデミー賞にノミネートされていないのが不思議なくらいの高いレベルの作品。サスペンス色が強く、エンタテイメント性が高いので、ドキドキしながら一気に観られる。

 
 



 ありきたりの映画は、善と悪をはっきり、明らかに描く。こういうのは明快さからある種の爽快感を生むかも知れないが、人物を一面からしか捉えてない薄っぺらな作品になる(それが必ずしも悪いわけではもちろんないが)。

 しかしよく「ハリウッド映画」が単純明快だと言われるが、ここ何年かは、そうそう単純な映画ばかりではない。むしろ悪人にも一抹の正義があり、善人にも後ろ暗いものもある、というような構造の作品も増えてきた。

 だがもう一格上の作品ならば、善と悪の二極対立を包括した、さらにもうひとつ上の対立をも描きうる。例えばイスラエルのガザ地区侵攻は、目でみえることだけで判断しても真実にはたどり着けない。もう一段上から見る視点が必要だろう。それと同様だ。

 今作では、これを描ききっている。典型的な場面のはずが、観客を一段上に立たせることで意味がまったく変わってみえる驚き。このとき、見えてくるものはしかし、複雑というよりむしろ本質的でシンプルなのだ。だからきっと、あなたの心にも強い感動を残す。

 
 
  〜2/20(金)
 

チェ 28歳の革命
19日(木)まで


レボリューショナリー
ロード



ベンジャミン・バトン
吹替
(字幕は継続)




 
  〜2/27(金)
 

ゴーオンジャーvs
ゲキレンジャー


チェ 
39歳別れの手紙







 
   2/21(土)〜
 

チェンジリング
20日(金)から


7つの贈り物


おくりびと
アカデミーノミネート
よみがえり上映


 
   2/28(土)〜
 

激情版
エリートヤンキー
三郎


オーストラリア


罪とか罰とか


 
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第20回テーマ 2008シネマシティで上映しなかった傑作たち


 大変長らく休止しておりまして、誠に申し訳ございませんでした。
 シネマカウンシル、再開させていただきます。
 今回から開催ペースを毎月ではなく、年3回とさせていただきます。
 その代わり、上位2作品を2週にわたって上映します。

 再開第一弾は、2008年公開作品で雑誌やネットなどでベスト作品に選ばれたものの中からシネマシティで上映しなかったものを取り上げました。
 すでに開始から4日経ってますが、現在5作品がほぼ横並びといった具合です。スタッフ間では『ぐるりのこと。』が圧勝、あと1本はわからないという予想でしたが、意外や意外、様々なベストテンでほとんど3位以内にランクインした『ぐるりのこと。』が一番票数が少ないとは…。映画館スタッフとお客様との意識の違いが見えて勉強になります。

 今回はシネマ・ツーの1Fに「カウンシルホール」を開きました。
 過去にどんな作品が選ばれてきたかわかるようになっています。ぜひお越しの際はお立ち寄り下さい。

 男臭い作品から、文芸ものまで、ヴァラエティ豊かな5作品です。期限は2月いっぱい。さあ、投票を!


クリックで投票画面に。
途中結果もこちらから見られます!

『トウキョウソナタ』4月24日DVD発売 4,935円(税込) 発売・販売:メディアファクトリー
(C)2008 Fortissimo Films/「TOKYO SONATA」製作委員会
『つぐない』DVD発売中 3,990円(税込) 発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
(c)2008 Universal Studios.All Rights Reserved.
『ぐるりのこと。』DVD発売中 5,040円(税込) 発売元:シグロ 販売元:バップ
『人のセックスを笑うな』DVD発売中 4,935円(税込) 発売元・販売元 ハピネット
(c)2008「人のセックスを笑うな」製作委員会
『イースタン・プロミス』DVDレンタル中 発売元・販売元 日活
(c)2007 Focus Features LLC.All Rights Reserved.

 
 

vol.45 「My Favorite Movie 2008」邦画編

 もう2月も半ばだが、2008年のベストの続き邦画編を。順位はうまくつけられないので10本ほど挙げるだけである。

 『母べえ』…吉永小百合が年相応ではないとか、そういう批判はつまらない。『エビータ』でマドンナ38歳がエビータ15歳をぬけぬけと演じて、それで成立するのが虚構の世界である。30代前半の笠置衆が老人役をやる嘘(リアル「ベンジャミン・バトン」!!)、これが、映画というものだろう。
 そりゃ確かに映画はカメラが寄ってアップで映すのだから舞台とは違う。森光子88歳が「放浪記」(2009年5月9日で公演2000回!!)ででんぐり返しすればもう娘にしか見えない(心眼で見よ!)という舞台には魔法が掛かるが、スクリーンで俳優を若者に見せようと思うと、プラッド・ピット45歳の映像に何億円と掛ける必要がある。日本映画にそんな資金も技術もあるはずがなく、だから浅野忠信演じる青年が恋愛感情を抱くということに無理があるという意見もあるが、彼が美熟女好きでない証拠でもあるのか、という反論もできるではないか。
 
 話がメチャクチャになったが、僕は山田洋次監督のファンである。間がいいし、俳優の顔が真剣である。絵に格があって、変なおもねりがない。だがサービス精神はあるから、観客を笑わせる。しかも、穏やかな内に激しさもある。今回も浅野忠信の新鮮な魅力を引き出した。すごく良かった。

 『歓喜の歌』…これは楽しい、そして粋な映画。こういう品のある喜劇が増えたら、日本映画はもっと豊かになる。松岡錠司監督は『東京タワー ボクとオカンと、時々オトン』の時よりずっと良かった。エグゼクティブ・プロデューサーにシネカノンの李鳳宇社長(『パッチギ!』『フラガール』)。さすが。
  立川志の輔師匠の創作落語が原作。うだつのあがらない地方の文化会館の主任はヤル気ゼロで、ホールの予約をダブルブッキングしてしまう。とはいえママさんコーラスの発表会だし、たいしたことはあるまいとタカをくくっていたら、両サークルとも超真剣。事態は大モメに。
 安田成美が久しぶりの登場。でもまったく美貌は衰えず、うっとり。小林薫がいい加減な主任を実に上手くいい加減にやっていて(ホメ言葉)、笑わせる。最後は素晴らしい歌を聴かせ、映画的感動があり、幕引きの上手さはビリー・ワイルダーに似たものがある。もっと評価されて然るべき。
 あと多くの部分を立川で撮影しているので立川市民は2度おいしい。

 『アフタースクール』…『運命じゃない人』というデビュー作でいきなりカンヌ映画祭にて「批評家週間 フランス作家協会賞(脚本賞)」「最優秀ヤング批評家賞」「最優秀ドイツ批評家賞」「鉄道員賞(金のレール賞)」と4つも賞を受けた内田けんじ監督長編第2作目。この監督は凝りに凝った複雑に絡み合うテクニカルな脚本で、しかし「ちょっといい話」にすとんと落とす、オリジナリティをもった人。『運命じゃない人』はごく低予算の小さな作品だったこともあって垢抜けないところもあったが、その才能には偽りなしを見事今作で証明してみせた。
 タランティーノの成功のあと、猫も杓子も複数エピソードが絡むギャングものを作ったが、どれも似たり寄ったり。内田監督もヤクザを出して犯罪を絡めるから「またそのクチか」と思ってしまうが、最後の落としどころが独特なのだ。ちょっとじーんとくるのである。しかも、ムリヤリじゃなく、ナチュラルにそこに持って行くんだからこれは上手い。コンゲーム的な面白さを楽しませつつ、しかし観客は、サスペンスではなく、よく出来た笑って泣けるコメディの後味になる。
 この監督、もしかしたらバケるかも。そう遠くない将来、そのシーズンの目玉となるような作品を撮ることになる可能性を秘めている。…ただ、かなり凝った脚本を自分で書くようなので寡作になってしまうかもしれないが。

 『ザ・マジックアワー』…キネマ旬報ベストテンでランキングに入ってなくてびっくりした。映画館ではお客様を信じられないくらい笑わせていたのに、コメディには評価が厳しいねえ。僕はこれ大好きです。『THE有頂天ホテル』はダメだったけど、今作はメチャメチャ笑った。佐藤浩市と西田敏行のやりとりの場面に尽きるが、妻夫木君も良かったし、綾瀬はるかも可愛かった。ワイルダー作品(『あなただけ今晩は』)風の凝った嘘くさい美術にも意味がきちんとあって、やっぱりうまいなあ。
 今実写で名前を出してお客さんを確実に引ける、ほとんど唯一の監督と言っていい三谷幸喜監督。次作も期待してます。東京サンシャインボーイズの奇跡の復活も、なんとか観られたらいいのになあ。

 『ぐるりのこと。』…大学のころ、橋口亮輔監督の授業を受けたことがある。確か3回の講義だった。黒いスーツにシャレたカットソーを来て、一時期の江口洋介みたいなロン毛で、すらっとしたイケメンだった。授業と言っても、『渚のシンドバット』での撮影現場の話とか、ニューヨークのゲイタウンの話をしただけだったような気がしたが、覚えてないだけかも知れない。
 『ハッシュ!』以来、ずいぶんご無沙汰だったが、どうやらうつ病になっていたらしい。しかしそんなブランクを感じさせない、あの、ギリギリと張り詰めた独特の緊張感をまた生み出すことに成功していた。木村多江は絶品。
 それを受け止める相手に、リリーさんを選んだのは、大成功だった。やさしくてやさしくて、涙が出る。悲しい話ではあるが、最後には清々しい、晴やかな気持ちにもなる。
 ただ、以前編集後記でも試写室速報として書いたが、90年代に現実に起った事件(池田小事件、和歌山ヒ素カレー事件、オウム事件など)を背景に描いて、ただ夫婦の話ではなく、『フォレスト・ガンプ 一期一会』のように、もっと普遍性を持たした物語にしてあるのだが、この事件が全部架空の地名・偽名なのが受け入れられない。作品の意味を喪失していると思う。にも関わらず、やはり夫婦の物語部分は否定できない素晴らしさだ。

『歩いても 歩いても』…僕が今年度実写でナンバー1を挙げるなら今作。田舎に帰省した、夏のある一日の物語。原田芳雄、樹木希林という特濃の夫婦の元に、姉がYOU、弟が阿部寛とまたさらに特濃な子どもたちがそれぞれの家族をつれて帰ってくる。YOUの旦那が元・男闘呼組の高橋和也、阿部寛の妻が夏川結衣。
 監督は『誰も知らない』の是枝裕和監督。もともとあまりストーリーを語るのではなく、ドキュメンタリー風の作品を作ってきたが、これはいよいよ極まった、今までの集大成的な作品。食事をしたり、墓を参ったりするだけだが、このミニマムなコミュニケーションのうちに、家族それぞれの、悲しみや怒りや不安や喜びや幸福が、にじみ出る。そこにゴンチチのえもいわれぬギターが流れてきて、この映画は忘れられない一作となった。

 『クライマーズ・ハイ』…『伝染歌』とか『魍魎の匣』とかがあったので心配していたが、原田眞人監督には久しぶりに骨太のドラマをみせてもらった。とりわけ事故直後の新聞社の場面は、今までの日本映画にはちょっとなかった撮り方で引き込まれた。無我夢中で何が何でも突っ込んでいって目的を果たすことが必ずしも「勝利」ではない、というテーマもユニーク。なかなかエンタテイメントにはしにくいテーマを、しかし、考えられた構造でさわやかな後味を作ったのが上手い。
 こういう大人が楽しめるまっとうなエンタテイメントは日本映画では貴重だ。

 『崖の上のポニョ』…僕の洋邦あわせてのナンバー1は群を抜いて今作。圧倒的なオリジナリティに完全に打ちのめされた。今年唯一3度みた作品。これもキネ旬ベストテンにランクインすらしてなくて驚いた。150億円を超える超特大ヒット作なのにね。ほとんどの日本人が一度は口ずさんでしまったあのフレーズへの反発かな?
 完全に狂った世界で繰り広げられる、死のニオイが充満した陽性のラブコメという、デイヴィッド・リンチに通底する芸術家のもっとも熟したおいしいところを、味合わせていただいた。こういうものが観たくて、僕は飽きずに何本も何本も映画を観ているのだ。かつての自作からの名場面、名演出が頻出、ファンを狂喜させながらも、それらとまったく似ていない作品を作り上げたとてつもない創造性。
 『ウォーリー』に代表される実写よりも緻密なCGアニメの潮流をあざ笑うかのごとき、絵本スタイルのシンプルな絵柄も最高。

 『百万円と苦虫女』…蒼井優ちゃんはホント、素晴らしいね。
 もうね、画面に映った瞬間空気が変わるのがわかる。蒼井優ちゃんがデステモーナを演った蜷川幸雄先生演出の『オセロー』を彩の国さいたま芸術劇場に観に行ったが、舞台だとなお、空気がゆがむのがわかる。なんて説明したらいいか、優ちゃんが芝居すると、視界がぐうっと狭まる感覚があるのだ、引き込まれて。とりわけ後半、デステモーナが歌う場面があるのだが、伴奏もなしで儚い声で彼女が歌ったときは、時間までねじれたもんな。時空の変容。何言ってるかさっぱりわからないと思うけど(笑)。
 『フラガール』でダンスのスキルの高さは証明済みだけど、彼女、歌もメチャ上手いのだ。そりゃミュージカル『アニー』の主演がデビューだもんな。『鉄コン筋クリート』で声優やらせてもハンパないことがわかったし、まったく集まるところには集まるもんだぜ、才能は。
 というわけだがしかし、今作は魂を奪われる系蒼井優ではなく、ナチュラルにひっそり生きてます系蒼井優をたっぷり堪能できる良作。タナダユキ監督作。ちょっと楽しくて、ちょっと泣ける、きれいな映画。

 『ひゃくはち』…あれ? なんでこの傑作は話題になってないのかしら。今年度剛山最号泣映画。自分でも引くくらい大粒の涙をボロボロこぼしてしまった…しかも試写室で。これは恥ずかしい。野球部でベンチ入り(試合には出られない)の座をめざして奮闘する、補欠たちの熱くせつない青春映画。
 もう僕自身が負け犬もいいとこ、自分にも自信がないと来てるから、こういう「負け犬のための慰めのバラード」は、ずっぽしツボに入ってしまう。いや、きっと今作の作り手は「負け犬なんかじゃない」ということを主張したかったのだろうけど、主張してしまう/せざるをえないところが負け犬であって、この悲しみは果てることがない。もうラストなんか思い出しただけでも泣けてくる。ああ、僕もこうして「負けてないフリ」をどれだけしてきたか、いや、今なおし続けているか。この場面は剛山映画史に刻まれることとなった。

 『ハッピーフライト』…ああ面白かった。コメディって最高! しかもスリルもたっぷり。矢口監督作品の中で一番好きかも。飛行機を飛ばすために、空港や機内の裏手でどれだけの人間がバタバタしているかを面白おかしくみせる、一種のバックステージもの。ヤル気があるんだかないんだかわからないトレーニング中パイロットの田辺誠一が笑わせる。ドジっ娘キャビンアテンダントを綾瀬はるかがほとんど素じゃないの、という感じでやっていてかなり良い。素だから嫌味がないのだ。地上の空港スタッフをやった田畑智子が一番おいしい役か。チャキチャキ姉御系キャラをテンポ良くやって楽しませ、ロマンスもある。
 地味ながらミッキー吉野の音楽の入れ方に唸った。とりわけクライマックスでのスリリングながら、コメディとしての軽みもキープする曲は見事。いくらでもドラマティックできる場面だが、盛り上げつつ抑えつつのさじ加減が絶妙。いやこの映画、相当すみずみまで気をつかっている作品だ。


 あとはタイトルを挙げるだけに。『パンダコパンダ』は新作ではないので、あげなかったが、泣けるは笑えるはの日本アニメ史上に輝く大傑作。僕が高校の時コーラス部にいたことがあることから変に共感して『うた魂♪』は楽しめた。夏帆ちゃんはかわいいし、ゴスペラーズの曲もなんか映画にぴったり合っていて感動した。ゴリのベタ演技も秀逸。
 『西の魔女が死んだ』はおばあちゃん役のサチ・パーカーの声にやられた。あんな声で話されたら、天気の話をしていてもやさしい気持ちになって泣いてしまうかもしれない。あと『ゲド戦記』のテーマソングを歌った手嶌葵によるエンディングテーマが最高。CD即買。
 『闇の子供たち』はよくぞ作った。いや日本映画史上、ここまで踏み込んだ映画は初ではないか。しかもスター級の俳優を何人も使っているのがすごい。嫌な気分に打ちのめされるショッキングな作品だが、真実めいていて無視できない。
 『ブタがいた教室』もよくぞ作った、という作品。ブタを自分たちで育てて食べることで「食」の意味を教えようとしたのが、いつのまにか「社会的責任とは何か?」という授業に変わっていくダイナミズムがスリリング。瞬間的に純粋民主主義の理想モデルが立ちのぼって、教育とは生き物であることを実感できる。
 『櫻の園-さくらのその-』あまり良い評判を聞かないが、僕は面白く観た。前作を観たのが子どものころで、ほとんど忘れてしまっていたのが良かったのかもしれない。がんばる女の子たちって、それだけでいいじゃないかと思う。
 『青い鳥』は省略省略の演出で、文脈を読ませる作品だった。どもりで寡黙な先生にならって、演出も寡黙だ。過剰説明の映画が多い中、異彩を放った。いじめという扱いづらいテーマを、ひねった設定でうまく見せた。


 以上。2008年にみた本数は約100本ほど(ちょっと欠けるくらいか)。年々減ってきてしまっている。特に中盤、4ヶ月ほどまともな休みがなかったのがきいた。そのせいで全体的にペースダウン。やはり見続けないと休日に出かけるのが億劫になってくる。
 また試写が増えたため、皆さんより数ヶ月ずれて観ていることが多く、2008年公開、という枠とのズレもある。今年はしかし秀逸なドキュメンタリーが多かった。近いうちシネマシティでドキュメンタリー映画の上映イベントがやりたいと思ったり。

 さて2009年はどんな名作と出会えるか、楽しみだ。

『母べえ』(C)2007「母べえ」製作委員会
『歓喜の歌』(C)2008「歓喜の歌」パートナーズ
『アフタースクール』(C) 2008「アフタースクール」製作委員会
『ザ・マジックアワー』(C)2008 フジテレビ 東宝
『ぐるりのこと。』DVD発売中 5,040円(税込) 発売元:シグロ 販売元:バップ
『歩いても 歩いても』(C)2008『歩いても 歩いても』製作委員会
『クライマーズ・ハイ』(C)「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ
『崖の上のポニョ』(C)2008 二馬力・GNDHDDT
『百万円と苦虫女』(C)2008『百万円と苦虫女』製作委員会
『ひゃくはち』(C)2008「ひゃくはち」製作委員会
『ハッピーフライト』(C)2008「ハッピーフライト」製作委員会


 先日観に行った宮崎あおい出演の芝居『その夜明け、嘘』について書こうと思ったのだが、急遽、とんでもないものを読んでしまったので、こちらをご紹介。

  いやだがしかし、あおいタン、信じられないくらい可愛かったなあ。前にも一度見ているのだが、間近で見ると、思ったよりずっとすらっとして顔が小さく、すごくスタイル良くて驚いた。なにしろ劇場がものすごく小さく(青山円形劇場)、1.5mくらいまで近づいたんだから幸福なんてものではない。芝居の内容はよくわからなかったが、そんなことまったく問題じゃない美しさ。一緒にいった原口画伯は「目があった」と妄想炸裂。上演中は二人してほとんどずっとニヤニヤしていた。あの可愛さでは仕方がない。浮気した旦那がいかに最低か、終わったあと飲みながら語りあったのであった。3時間グラビアアイドルの部屋の玄関で水を飲んでたって、どういうこっちゃ?


 そんなことよりも、しかし重大なことがある。
 スタジオジブリが毎月発行しているフリーマガジン「熱風」の2月号がハンパないのだ。

 これフリーなのはありがたいのだが、どこでも買えるわけではないのがツラい。書店で配布されているのだが、立川から一番近い所で吉祥寺パルコB2F「リブロブックス吉祥寺店」なのだ。またジブリ美術館の中にもある。そうでなければ新宿タカシマヤタイムズスクエアの中の紀伊国屋書店。

 それでも、これわざわざもらいに出かけていく価値があると断言したい。毎号興味深い特集で楽しませていただいているが、とりわけ今号はホントにすごい。
 今号の特集は、3月14日からスタートする、ジブリ美術館ライブラリーの新作『ルパン三世1stTVシリーズ』について。
  あれ? ライブラリー作品なのにシネマシティでは上映しないのか、と思われた方もいらっしゃると思うが、そもそもがTV番組ということもあって35mmフィルムがないなどの諸事情により今回はお休みさせていただくことになったのだ。渋谷シネマ・アンジェリカさんへどうぞ。

 『ルパン三世』のシリーズの中でも、のちの『天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵が登場する最終話「さらば愛しきルパンよ」とか、『未来少年コナン』に出てきたような巨大飛行艇が登場する伝説的傑作エピソード「死の翼アルバトロス」などではなく、1stシリーズから3話チョイスしたというのがシブすぎる。さすが。

 さて、この公開のために宮崎駿監督へのインタビューを行ったものが「熱風」に採録されているのだが…もうね、驚愕、呆然、爆笑。ファンのリスペクトや語られている伝説を打ち砕く、毒舌ぶっちゃけトークが炸裂。これブログなら100%炎上ってレベル(笑)。

 いや、宮崎監督、今回に限ったことではない。
 『魔女の宅急便』のソフトの映像特典に、糸井重里氏と監督の対談が収録されているのをご覧になったことはあるのだろうか?(DVDには無い? 僕が所有しているLDには入っているが)この対談でもありえない発言が連発、中でも「僕の映画をビデオなんかで繰返し見るな」という旨の発言には、さすがの糸井氏も一瞬絶句、まわりのスタッフを見回し、これは使えないですよねえ、とうろたえるのが最高。ビデオソフトの特典だっていってるのに(笑)。

 今回の特集では、第一パラグラフでいきなり、

“今ちょっと見返してみて、「おもしろいね」なんて言われるとムカッとする”

 と爆弾発言。続けて、

“本当にライブラリー作品としてやるに値するかを真面目に考えろ、と思うだけです”

 とファンだけでなく、スタッフにまでかみつく始末! まったく最高すぎるにもほどがある。

 この後も、なんとかこの作品がいかに素晴らしいか持ち上げようとするインタビュアーの意図をことごとく裏切っていく傍若無人ぶりが凄まじい。偉大なる芸術家はこうでなきゃいけない。当たり障りのない言葉で適当にまとめようとする作り手に映画史に残る大傑作群が作れるはずもないではないか!

 ラストで核爆弾級の「ひと言」がドカンと落ちて、もうあとは草木も生えぬ焼け野原。聞き手の青ざめた顔が目に浮かぶ、衝撃のインタビュー。腹がよじれた。


 今回の上映では過去作だけでなく同時上映で『ドキュメント「ルパン三世」とその時代』というのがついているが、この中でこのインタビューは流れるのか!?
 辛抱ならん。観に行かざるをえない。

今週の顔

アンジェリーナ・ジョリー。とってもキレイな絵で、サアリちゃんからもらったときは驚いた。『チェンジリング』は20日(金)からの変則スタート。これちょっと尺が長いのだが、緊張感が張り詰めているばかりか、ストーリーもどう転がるかわからないスリルでグイグイ観させられる。

ご意見、感想お待ちしております … seek@cinemacity.co.jp  

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◇責任者名   シネマシティ株式会社 SEEK編集部 遠山
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