(C)2008『百万円と苦虫女』製作委員会
百万円と苦虫女

7/19(土)からスタート
監督・脚本■タナダユキ (『赤い文化住宅の初子』)
主題歌■原田郁子(「やわらかくてきもちいい風」)
出演■蒼井優/森山未來/ピエール瀧/竹財輝之助
■■■笹野高史/モロ師岡/嶋田久作
配給■日活
公式HP



 騒がしい夏の、一服の清涼剤。まるで水彩画のように透明で、可笑しくってちょっとせつない、良作。
 奇妙なタイトル、グラフィティ(落書き)風のポスターヴィジュアルから、ごく若い人向きの奇抜な映画のような印象だが、本作はそれをさらっと裏切る、大人の鑑賞にたえるまっとうな作品。
 
 つまらない諍いから前科を背負うことになった何の取り柄もない地味な少女。街にも家にも居づらくなって、家を出ることを決める。百万円貯めて。
 そして彼女は行きあたりばったりにたどりついた場所で仕事を見つけ、またしばらく働いては百万円貯まると移動するという放浪的な生活を始める。
 だがだらしない人間ではない。むしろ逆だ。ただ人と深く交わるのだけは苦手だ。そうなる前に彼女はその土地を離れる。
 とはいえ、可愛らしく、おしとやかでマジメな若い女性を周囲の人間が放っておくはずもない。否が応でも「人間関係」がまとわりついてくる。少女は逃げ続けるが、だけどときには恋もする。抑えられない想いと自分のルール。通帳の数字は刻々と百万円に近づいていく…。
 主演の蒼井優については多言は無用だろう。演技力において若手女優の中では頭ひとつ抜けている。そんな彼女の透明感、孤独感を見事スクリーンに映し出したのは『さくらん』の脚本、『赤い文化住宅の初子』のタナダユキ監督。最近若い女性監督の活躍が目覚ましい。

 
 



 ヒロイン鈴子に深く共感してしまった。
 こんなに映画ばっかり観ているのだからバレバレだが、剛山も人づきあいが苦手だ。だが、そう他人に言うとたいてい笑われる。そんなはずがない、と。確かによくしゃべるし、図々しいところもある。もしかすると、コミュニケーション能力は高いほうかもしれない。
 でも冗談でも何でもなく、いまだ知らない人と話すときには手が震えるくらいなんだけどなあ。
 鈴子は社会不適応者じゃない。むしろ仕事を選ばず、どんなことでもちゃんとやる。しかもよくできる。剛山も仕事は(まずまず)きちんとする。そのために勉強もする。
  表面的にはそつなく生きているように見えるかもしれない。いや、確かにそつなく生きている。だけど深いところで孤独を望んでいるんだよなあ。他人は面倒くさい。人と話すくらいなら映画を観たい。本を読みたい。音楽を聴きたい。絵をみたい。
  こういう人は結構多いと思う。そして孤独かもしれないが、この人にとって孤独は幸福である。食べ物の好き嫌いみたいなもので、孤独も趣味なのだ。
  今作はこのへんの「微妙な感じ」をすごく上手くだしている。一般的にはマイナスに取られがちの「孤独趣味」を、ムリに称揚もせず、卑下もしない。ネガティヴに生きる気取りも、ポジティヴに生きる頑張りも、とっぱらって淡々と生きる美しさ。欲が出てなかなかこうはいかないけれど、こうなりたい、と思わせる新鮮なヒロイン像が素晴らしい。

 
 
 
*変更の可能性があります      
    〜7/18(金)
 


奇跡のシンフォニー


ミラクル7号


 
    〜7/25(金)
 


ナルニア国物語2


純喫茶磯辺


歩いても歩いても

 
    7/19(土)〜
 


チェブラーシカ
字幕/吹替


崖の上のポニョ


ポケットモンスター


百万円と苦虫女

 
    7/26(土)〜
 


ドラゴン・キングダム


ハプニング


カンフー・パンダ


 
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蒼井優の持ち味を活かした、可笑しくて、ちょっと切ない素敵なコメディ。


立川のいろんなお店にチェブ登場! ぜひ探してみてください。



vol.38  『オリンピア』 ドキュメンタリーのドキュメンタリー


 いよいよ北京五輪が始まろうとしている。

 オリンピックの映画と言えば、市川崑総監督の「記録か芸術か?」論争を巻き起こした『東京オリンピック』、8人の巨匠によるオムニバス・ドキュメンタリー『時よとまれ君は美しい/ミュンヘンの17日』が有名だが、やはりオリンピック記録映画の嚆矢にして最高傑作と言えるのは、レニ・リーフェンシュタール監督による『民族の祭典』『美の祭典』の2部作であろう。あわせて『オリンピア』と呼ぶこともある。

 ナチス全盛期のベルリンオリンピックのドキュメンタリーだけに、プロパガンダ映画として謗りを受けることもあるが、時代を経て今冷静な目で見てみると、端的に時代資料映像としてかなり面白い。
 何しろまず映像や編集が独特である。例えばマラソンでは選手の目線で自分の脚を見ている、というような映像が挟まれる。棒高跳びではバーを越える瞬間を選手ではなく、その影を映す。あるいは野球映画かなんかのように、応援する観客のアップと選手の緊張した面持ちが交互に映され、スリリングを高めるといった具合。現在のTV中継とはまるで違うのだ。

 大体、オープニングからして異質だ。暗い空を雲が流れ、ギリシャの風化した遺跡が映り、それがやがて形を保った神殿となる。神殿には美しい裸体の彫刻があり、その彫刻と男性の裸体がオーバーラップされる。やがて男性は女性へと移り、その女性は古典的な舞踊を踊り、そこから炎が生まれる。いにしえの神話世界から、いよいよ眼前に神々を召還せんとする幻想的なイメージ。
 なんとこれが15分もあるのだ! 高らかに鳴り響くクラッシック音楽がさらに手を貸して、現代人ならいきなり眠りに突き落とされること請け合いである。


 このドキュメンタリー映画『オリンピア』に切り込んだ一冊のノンフィクションがある。沢木耕太朗「オリンピア ナチスの森で」(集英社文庫刊)。1998年に刊行された作品。ベルリン大会が1938年、映画『オリンピア』公開が1940年公開であるか、約60年経ってからの検証ということになる。

 この作品は沢木によるレニへのインタビューから始まる。そしてレニの半生をたどり、当時のドイツの政治状況を語り、やがて沢木自らが日本選手を主軸においた「オリンピア」を描き上げていく。まさにその場所にて取材したかのような錯覚すら覚える精緻な文章。これぞ沢木耕太朗の真骨頂だ。
 
 まずとにかく面白いのは、やはり現在とのギャップだろう。

 水着レーザーレーサーをめぐってすったもんだしている水泳界だが、この当時はさすがに本番にはそうしなかったものの、男子水泳陣は練習は「ふんどし」で行っていたという。
 このとき日本は水泳王国として鳴らしており、日本勢が練習を始めると他国の選手は恐れをなしてプールから出たらしいのだが、これ本当は違う意味だったのではないか。

 体操競技が屋外で行われているのも衝撃的だ。おそらく満員のスタジアムで見せるためであろうが、ものすごいヴィジュアルのインパクトがある。またカメラも吊り輪の選手をほとんど真下から撮影しており、これは許されることなのだろうか、と心配になる。

 当時競技の模様を伝えるマスコミの様子も詳細に描かれているのが面白い。なにしろ作家西条八十を特派員とし、詩や散文を書かせて新聞に載せるのである。なんとみやびな。武者小路実篤も特派員としてドイツに赴いている。
  いや、文明の利器もあった。この大会からベルリンと東京を結ぶ、無線伝送写真送受信機が導入されたのである。しかしまともに判別できるものではなく、新聞各社が手を入れたため、同じ写真でも列席者の服装が違っていたりしたという。
 
 またニュース映像フィルムを少しでも早く日本に運ぶためのレースがすごい。
 飛行機にてシベリア鉄道を追い、ノボシビルスクで追い越し乗り換え、満州里に到着。ここからはまた小型飛行機にのり、ハルピンで三菱製の最新鋭機に乗り換え。このルートは朝日新聞だが、ほぼ似たようなルートで東日も留学生を使って同じころ満州に到着、こちらはロッキード社製の飛行機で一気に日本を目指したが、両者とも悪天候で京城で一泊足止め。結局9千キロのレースだったにも関わらず、東京に到着したのは数十分と差がなかったという。なんか『インディ・ジョーンズ』とかみたいだ。

 しかしこの本の真の面白さは、エピソードの羅列にあるわけではない。
 実は冒頭ですでにテーマは示されるのである。それは「真実とは何か?」というノンフィクションやドキュメント作家にとっての答えなき命題。
 
 ベルリンオリンピックのドイツによる「公式報告書」にて「今大会で最も輝かしいもの」と賞賛されたのは男子棒高跳びであった。
 当時圧倒的な強さを誇っていたのはアメリカで、第1回アテネ大会から連続9回の金を獲得していた。このアメリカを追うのが、日本勢だった。西田修平と大江季雄。この2人、そしてアメリカのセフトン、グレーバー、メドウズの3選手の争いは白熱し、なんと5時間にも及んだ。
 当然、陽は沈む。スタジアム全体を照らして充分な強力なライトなどあるはずもない。
 だが、映画では公式報告書に記されている通りに、この棒高跳びのシーンはクライマックスとして見事な盛り上がりを見せる。

 どうやって撮った?

 競技中、選手にライトをあてることは委員会より禁止されていた。もちろん、当時のフィルムで夜間撮影など望むべくもない。レニはどうしたか? 
 レニによれば翌日に「再現」したのだという。大江と西田、そしてアメリカ勢3選手を呼び出し、当日さながらに跳んでもらい、たっぷりとライトを当てて撮影した。
 
  「でもね、あのシーンがなければよかったかというと、あった方がよかったと思うの」

 レニは言う。

 「試合後に撮り直したのはそれだけです」

 だが沢木は切り込む。「いや、リメイクのシーンはまだある。十種競技もそうだったはずだ」

 「そうそう、十種競技がありました。九種までは普通に撮っていました。ところが残りの千五百メートルがやはり夜だったので撮れませんでした」

  …。

 これに反発するかのように、ベルリン大会における日本人選手の活躍を沢木は綿密に活写しはじめる。
 沢木は元来の対象に客観性を保つジャーナリズムに対して、積極的に対象に関係して主観を交えて書く「ニュー・ジャーナリズム」の旗手として鳴らした。「私小説」ならぬ「私ノンフィクション」の提唱者でもある。すなわち、誰よりも「手法」に対して意識的な書き手であると言えよう。
 同じドキュメンタリー作家として、沢木は本書の最終章でさらにレニに突っ込んでいく。暴かれる撮り直しよりもさらに「驚くべき」事実。

 映画史上最高のオリンピック・ドキュメンタリー映画の真実とは? そしてそもそも「真実」の在り方とは?

 これはぜひ本書を読んで確かめていただきたい。
 そして映画『オリンピア』も見直していただきたい。

 そして出来たらご自分でも考えてみていただきたい。最新鋭の機材を使って、瞬時にその場面が世界中で視聴されるからといって、今度のオリンピックは果たして「真実」だといえるのだろうか?

 問題は、さらに拡がり、深まる。



  いよいよ始まりましたよ、エキュート立川での「チェブラーシカ フェスティバル」。
 剛山が構成した(←ホント)、絵本風パネル&ジオラマ展、SEEK読者様にはぜひこれをご覧いただきたいわけです。たった8枚のパネルで1話分を語るために、苦労しました。いや、脚本の勉強しておいてよかった。どこで役にたつかわからないものです。特に最後の1枚には僕のクリエイティヴを込めたので注目してください(笑)。いや、たいしたことはないんですけど。
 
  どうやらかなり反響はあるようで、正直これは売れないだろうと思っていた(笑)チェブメガネが初日ですでに2本売れたとのこと! \36,750(予価)の高額商品ですよ。このショップ「kamuro」さんの商品の素晴らしさが理由でしょうけども。いや驚きました。

 チェブケーキも初日は完売とのこと。チェブパンも即売れで買えませんでした(泣)。
  たくさんのかわいいグッズもどんどん売れてます。期間限定なのでお早めに。剛山も携帯ストラップとキーカバー買って宣伝に励んでおります。

 そして本日から全世界の女性待望のあの伝説的大ヒットドラマの映画化『セックス・アンド・ザ・シティ』の大キャンペーンをグランデュオ立川さんとやらせてもらっております!
  7/16(水)〜7/31(木)の期間中、2,000円以上お求めの方に応募券を進呈、抽選で「芸能人と観るプレミア試写会」とか「シネマシティで観る特別試写会」「TVシリーズ豪華DVD-BOX」などが当たります! 
  そして5Fエスカレータ前のスペースでは「『セックス・アンド・ザ・シティ』その華麗なファッション」展を開催。本作の目玉のひとつ、華麗なファッションを作り上げたカリスマスタイリスト、パトリシア・フィールドの仕事をじっくり観られるパネル展です。『プラダを着た悪魔』や安室奈美恵のヴィダルサスーンのCMの衣装もこの人の仕事。
  すでにドラマのファンの方も、これからWOWOWやテレビ東京で始まる放送を楽しみにしている方も、ぜひいらっしゃってください! ちなみに映画の出来は、コアなファンもドラマを観てない人も号泣のハッピーな傑作だそうです。本当に泣いて出てきている人たくさん。

 またこの映画は美容室「ZEST」さんとも大がかりなコラボを展開中。立川駅前で配布していただいているZESTさんのリーフレットには『SATC』の紹介記事とシネマシティの割引券が。ぜひもらってみてください。またZESTさんで髪を切ると、もれなく映画『セックス・アンド・ザ・シティ』の話聴けます。なぜならZESTの美容師さんのほとんどの方に試写でご覧いただいたのです。

 『セックス・アンド・ザ・シティ』は8月23日から公開。その前の週16日、17日には先行上映もあります! お楽しみに。

『チェブラーシカ』(c)Chebrashka Project
『セックス・アンド・ザ・シティ』(C)MMVlll New Line Productions,Inc.Sex and the City TM is a trademark of Home Box Office,Inc.All Rights Reserved

今週の顔

喜多郎。日本が世界に誇るシンセサイザー奏者。02年グラミー賞受賞。ノミネートは13回におよぶ。映画関連ではオリバー・ストーン監督作『天と地』で音楽を担当し、ゴールデングローブ作曲賞を受賞した。
高校の時髪をのばしたら、その髪型が「ゲゲゲの鬼太郎」に似ていたことからあだ名が鬼太郎になり、それを文字を置き換え芸名とした。

ご意見、感想お待ちしております … seek@cinemacity.co.jp  
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