ミュンヘン

監督■ スティーヴン・スピルバーグ
出演■ エリック・バナ(『ハルク』)
     ジェフリー・ラッシュ(『シャイン』)
      ダニエル・クレイグ(新ジェームス・ボンド) 
公式HP http://munich.jp/
TM & (C) 2005 DREAMWORKS LLC./Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 冒頭、 哀切な祈りに似た歌声が流れる中、『シンドラーのリスト』を思わせるタイポグラフィが暗闇にうっすらと浮かび上がる。だが、今度は都市の名だ。ロンドン、ベイルート、パリ、ニューヨーク。
  都市を並べることで、「世界」を描き、そこに血の色で「ミュンヘン」の名を浮かび上がらせる。しかしもちろんこれは契機にすぎない。やがて全ての都市が血塗られることになる。…今日に至るまでに。

 強烈に問題を叩きつけながらも、同時に映画は映画として『ジャッカルの日』『フレンチ・コネクション』『コンドル』等の骨太な社会派サスペンスを彷彿とさせる優れた暗殺スリラーでもある。緊張の糸は緩むことがない。  
 最後の最後に放たれる、「静寂の銃声」は世界中の心臓を震わせるだろう。出自たるユダヤ人コミュニティにすら懐疑を突きつけた、このスピルバーグの、覚悟。

 

 飛び交うTVの音声

 120t/mの心拍音

 銃声

 交錯する多言語

 ナイフの打音

 後部座席のガラスを打つ雨音

 爆風の空裂音

 シーツにこびりついた血液の粘着音

 叫声

 哀歌

 研ぎ済ました聴覚で観よ 



時間表はこちら
http://cinemacity.co.jp/webReservation/calendar.do

『チキン・リトル』 『最終兵器彼女』
『ALWAYS 三丁目の夕日』
『ハリーポッター (吹)(字)』
『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』
『プライドと偏見』

 

『燃ゆるとき』 『PROMISE』
『サイレン』 『クラッシュ PG-12』
『ジャーヘッド R-15』
『美しき野獣 R-15』
 



vol.4 いのちぼうにふろう 

 大ヒット中の『男たちの大和/ YAMATO 』ですが、本当はこういう映画になるはずではなかったという事実をご存じですか?
 生き残って船乗りになった少年兵の一人がなぜ戦後 60 年まで生きる意味があったのかというお話はさすがにドラマティックなのですが、戦艦大和の若者たちのほとんどが、自らが死ぬことで家族をそして日本を守れるのではないかと年齢が幼いがゆえに矛盾に思うこともなく無邪気に信じていたことに触れられていないし、家族と別れを告げる若者たちをセンチメンタルに描くことや戦争シーンのスペクタクル性が際立ちすぎるように私には見えてしまいました。
 映画をごらんになってひとつでも「?」とお感じになった方がもしいらっしゃったら、ぜひ月刊シナリオ 2006年1月号に掲載の『男たちの大和』オリジナルシナリオを読んでみて下さい。この作品は泣ける映画ではなく物悲しい映画でなければならなかったのではないでしょうか?

http://www.mmjp.or.jp/gekkan-scenario/

 今回は戦艦大和の若者たちとは時代も背景も違えど、自分の命の可能性を信じた若者たちの 1 本の時代劇を今回はご紹介します。小林正樹監督『いのちぼうにふろう』1971年の作品です。

 東京は深川。沼と堀に囲まれてまるで離れ小島のようになっている安楽亭は表向きは一膳めしやとして赤ちょうちんをぶら下げてはいるが、その実体は禁制品を抜け荷として扱う密貿易の根城。若いごろつきたちが暮らしていて一見客も店には近寄らせない。そんな隠し砦のようなその店にある日、無銭飲食をして袋叩きにあっていた富次郎というが転がり込み、続けて「ここを知っている」と言っては酔って酒を呑ませろといってくる謎の中年男が出入りするようになって様子が変わってくるのです。
  富次郎は結婚を誓った幼なじみが借金のカタに女郎屋に売られてしまったものを腕力も金もないのに刺し違えてでも取り戻そうと思いのたけをぶちまける。その言葉にほだされたごろつきたちは、報酬は高いがどう考えても危険だらけの抜け荷の仕事をあえて引き受けるのです。
 密貿易に必要ならば人も殺めていて、いつかはそうなるであろう若者たちは、安楽亭を取り囲んだ奉行の罠にかかって次々と召し捕られて始末されていくのですが、その当然と言えば当然の流れが、ひどく物悲しいのはそのきっかけが若者と娘を身請けさせて逃がしてやろう、生まれて初めて人のために何かをしてやろうとする若者たちの中に目覚めた無償の精神に基づいているということからです。
 ようやく人の心にめざめたその時に死んでゆかねばならない若者たち。真夜中ススキが茂る川っ淵に同心たちの御用の提灯の行列がモノクロームの画面にひと際白く浮き上がり引いては寄せ、寄せては引いていく。その美しさが若者たちの無念を代弁しているかのように見えるのです。
 勝新演じる謎の中年男の明らかになる悲しい過去とその深い悲しみを秘めた勝新の酔っぱらい演技もこの映画のもうひとつの見どころです!

 署名運動が実って日本公開が実現した『ホテル・ルワンダ』にももうひとつの無償の精神が流れています。ドン・チードル演じる高級ホテルの支配人は危険な政権下で同じ黒人たちが「フツ族」「ツチ族」という民族間の因習を引きずり殺しあう中で何とか家族はいつでも守れるように根回しを怠っていません。
  しかし紛争が本格化した時、その努力は無意味であったことに絶望するが、代わりにそんな最悪の状況下でもひとりでも多くの人を助けることができるのではないかともうひとつの可能性に賭けるお話です。あまりにもスリリングでドラマティックですが、人があまりにも虫ケラのように殺される中で、残った命がいっそう光り輝く瞬間があります。これが現実だということがまたひどく物悲しいのです。

                また映画館で会いましょう!

いのちぼうにふろう

1971年/俳優座=東宝/ 2時間01分
監督 小林正樹『切腹』
原作 山本周五郎
脚本 隆 巴
撮影 岡崎宏三
音楽 武満 徹
出演 仲代達矢/栗原小巻/山本圭/佐藤慶/勝新太郎(大映)
未ビデオ化・未 DVD 化

第1回選出作品

(C)1965&1993 Argyle Enterprises,Inc.and Twentieth Century Fox Film
第2回選出作品
(C)2001 STUDIO CANAL/A CO-PRODUCTION OF LES FILMS ARAIN SARDE, STUDIO CANAL, PICTURE FACTORY
発売元:コムストック/PCBE-0340/¥3,800(税抜)
 作品が上映されないままドンドン溜まっているシネマカウンシル、絶好調であります。今週末には第3回投票もスタート。考えていた企画が、ギリギリに上映不可になり、間に合うかどうか綱渡り状態です。
  今回は季節に合わせて「祝入進学 青春完全燃焼系ムービー」のテーマで行きます。確定してませんので作品名を名言するのは避けますが、ロケットを打ち上げたり、ロックバンドを追いかけたり、一生懸命応援したりする映画を予定しています! お楽しみに!

 ところでついに18日(土)からは、すでに投票したことなど思い出でしかない『サウンド・オブ・ミュージック』をやっと上映します! 思い切って一日通しでの上映を考えております。快挙。
  『マルホランド・ドライブ』はまさかの他劇場とのバッティングで、上映が少々遅れてしまいます。現在3月18日からで交渉中です。今しばらく正式発表をお待ち下さい。  
 
  シネマカウンシルって何?という方は >>こちら

 
 時代を先読みする眼には定評があるこの剛山が、今最も注目するのがコレ、「ヴェロモービル」
 小さな車ではない、これは自転車なのだ。『マイノリティ・リポート』を思わせる、このデザイン。それでいて人力というハズしっぷりがフューチャー。
  5,000ユーロ(約70万円)。安い、これで伯爵気分は安い。
 しかも これなら3本足宇宙人が襲来しても、止まってしまうこともない。…無理矢理ですみません。『ミュンヘン』を観てしまったのだ。スピルバーグ、あなたは素晴らしすぎる。あの頃輝きを放った数々の監督たちが、光を失っていく中にあって、あなただけは、まだ昇り続けるというのか。

表紙の顔… ドン・チードル。シネマシティでは今月ドン・チー祭。主演の『ホテル・ルワンダ』、アカデミー賞に6部門ノミネートされた『クラッシュ』、そして『ダイアモンド・イン・パラダイス』と立て続け。黒人俳優界の首領となる日も来るか。

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