いよいよ3D映画時代訪れるか?
日本ではまだまだだが、アメリカでは数年前から3D映画が浸透し始めている。
ずいぶん前だが『チキン・リトル』はアメリカでは2Dより3Dのほうが興行成績が良かったという。
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『ポーラー・エクスプレス』『ルイスと未来泥棒』『ベオウルフ』『スーパーマン リターンズ』などは日本でも一部劇場で3D版が上映されたのでご覧になった方もいらっしゃるだろう。『甲殻機動隊』を3Dで作るというニュースも最近あった。
今年は目玉として『センター・オブ・ジ・アース』、そして来年はドリームワークスが開発したという「Ultimete 3D」(アルティメット=究極)という技術で作られたというアニメーション『Monsters vs.Aliens』、ジェームス・キャメロンのSF『AVATAR』が公開される。そしてどうやらこれらは「革命的に」スゴいらしい。
3D映画、と言ってもしかし新鮮な響きはないのが実情だ。だって、僕が小学生の頃にはディズニーランドに『キャプテンEO』があったもの。マイケル・ジャクソン主演。フランシス・フォード・コッポラ監督作品。僕にとってはいまだあれが究極の3D映画であって、マイケルは最高だ。
新宿と品川にあった「IMAX(アイマックス)シアター」にも何度か行った。これは行ったことある方も多いだろう。『愛人ラマン』とか『子熊物語』の名匠ジャン=ジャック・アノーが監督した『愛と勇気の翼』(サン=テグジュペリ原作)とかジェームス・キャメロン監督のドキュメント『タイタニックの秘密』とか観たなあ。あと子どもがニューヨークを歩き回るデモ的な作品があったと思ったけどタイトルを失念。
笑ってしまうくらいむやみにデカいスクリーンと、老人子どもが何人も転がり落ちているのではないかと思わせるくらい急勾配な劇場は、なかなか非現実感が高く、3D映画の場合は変なヘルメットみたいなものを被って観るのだが、それは3Dメガネとしてだけでなく、小さなスピーカーがついていて、セリフなんかはそこから流れるようになっていた(はず)。
前の人の頭がひざより下にくるくらいだから、ほぼ視界全部がスクリーンとなり、ものすごい迫力だった。が、まず新宿タカシマヤの上が閉鎖、普通の映画館(テアトル新宿)に変わり、品川も去年の春に閉館してしまった。3Dではないが、巨大スクリーンをいかしてローリング・ストーンズのコンサートをとらえたものも上映されたりしたのになあ(監督はジュリアン・テンプル)。
なのでなにをいまさら「3D」って…という気がしないでもないが、今話題になっているのは普通の映画館で3D映画を上映できる装置が(撮影側も劇場側も)普及し始めてきた、ということなのである。『スパイキッズ3-D』みたいに、劇中「さあ、メガネをかけて!」の呼びかけで赤青のチープな紙メガネをかける、みたいなレベルではなく、メガネは必要だが、ちゃんと一本丸々観られる長編3D映画が普及し始めたのだ。
3D映画上映には今主流の方式が2つあって、ひとつは「Real D」といい、もうひとつは「Dolby 3D」([FOR PROFESSIONALS]→[Motion Picture])という。お互い長短あって、映写装置を入れるのは同じだが、「Real D」はメガネが激安(5セントとか)だが、スクリーンを張替える必要があり、「Dolby 3D」はスクリーンはそのままでいいが、メガネが激高(50ドル。さすがに回収して使い回し)だという。
日本では「Raal D」を採用しているのがワーナーマイカル系列で、「Dolby 3D」を採用しているのがT・ジョイ/バルト系だ。
アメリカでは2010年までに3D上映ができるスクリーンが7000館になるとまで予測されているらしい。(とりあえず今のところは)家庭のテレビでは同クオリティでは観られず、しかも3D映画は海賊版が作りにくいときているから、これは映画業界が頭を抱えているやっかいな問題「なぜ映画を映画館で観なければならないのか?」に解決策を提示できる。料金も値上げしやすい。
でも何となく日本では受けが悪い、という気がする。
例えば過去の日本の絵画を見ても、西洋のように透視図法を駆使した奥行き感のあるリアルな絵画は生まれなかった。
「リアルに近づければ、リアル感が生まれるというわけではない」という感覚が日本には伝統的にある。芝居で血しぶきをさっと赤い布をひくことで表現する、といったようなことだ。
そんな大げさな話をしなくても、今までも数年に一回くらい「立体ブーム」は起こっていて、目を寄せるとCGのノイズみたいなものから飛び出す本が売れたり、インスタントカメラで立体写真が撮れるものが発売されたり、シャープから立体映像ケータイが発売されたりしたが、見事にほとんど消え去っている。
とはいえ、アメリカが本気出して3D映画を作りはじめたら、これはもう映画館も対応せざるを得ないだろう。アニメーションだけならまだしも、『タイタニック3D』的なものが出てきたら、もう一発で日本中変わらざるをえない。またはジブリの新作が3Dになるとか。『天空の城ラピュタ3D』なんてかなり観たい。
でも今のところ日本で長編立体映画の企画はゼロらしい。
だが面白いことにお隣の韓国ではすでに製作中のものがあるという。しかも韓国には立体システムを作る会社もある(Master Image社)。以前のワールドカップの立体中継というのもあったし、なかなか立体に積極的なのだ。
ただ立体放送、BS11で始まって先月ヒュンダイから対応のテレビが発売されたというのでビックカメラに見に行ってみたが、うーん…。
ちょっと見る角度がズレると画像がブレてしまうし、早い動きがあると軽いめまいに似た感覚が起こる。正直これが普及するとは思えないのだ。
つまりテレビではまだかなり難しく、映画が先行できるということと考えていいのだろうか。
新しい3D方式は次なる映画の時代を拓けるのか?
率直に言うと、個人的にはあんまり期待していないが(笑)、とにかく新しいもの好きでもあるので、アメリカ映画界の技術力を見せつけてもらいたい。来年が楽しみだ。
今週の顔 |
ボブ・ディラン。ミュージシャン。『アイム・ノット・ゼア』上映中。コメントはウィル・スミス出演の映画のタイトルから。この絵にふさわしい言葉だと思い。
ちなみにこの映画の原題は「Six Degrees of Separations」(六次の隔たり)。これは6人以上の知り合いを介すと間接的に世界中の人間と知り合いになれる、という理論的仮説。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス。mixiなど)のコンセプトに使われる。この映画の元になった戯曲からネーミングされている。『アイム・ノット・ゼア』ではクリスチャン・ベイルだけ二役演じているが、これと何か関係あるのだろうか?
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