(C)2007 VIP Medienfonds 4 GmbH & Co.KG/All photos-Jonathan Wenk

アイム・ノット・ゼア

監督・脚本■トッド・ヘインズ(『エデンより彼方へ』)
出演■クリスチャン・ベイル(『アメリカン・サイコ』)
■■■ケイト・ブランシェット(『エリザベス』)
■■■マーカス・カール・フランクリン
■■■リチャード・ギア(『プリティ・ウーマン』)
■■■ヒース・レジャー(『チョコレート』)
■■■ベン・ウィショー(『パフューム ある人殺しの物語』)
配給■デスペラード
公式HP



 生ける伝説的ミュージシャンにして詩人、ボブ・ディランの半生を描かんとする野心的映画。
 とはいえこれはありきたりな「伝記モノ」ではない。劇的に人生を変化させていった多面性を持つディランをとらえるため、なんと人種も年齢も性別も見た目も全然違う6人の俳優に演じさせるという秀逸なアイディアで作られているのだ。
 そのディランを演じるのはクリスチャン・ベイル(『バットマン ビギンズ』)、先日あまりにも若くして急逝したヒース・レジャー(『ブロークバック・マウンテン』)、『パフューム ある人殺しの物語』で注目されたベン・ウィショー、リチャード・ギア(『シカゴ』)、素晴らしい歌を聞かせる黒人少年マーカス・カール・フランクリン、そして本作の最大の話題にもなっているケイト・ブランシェット(『バベル』)。彼女はアカデミー賞の助演女優賞にもノミネートされた。
 今作は事実に忠実ではない。いや、確かに有名なエピソードや、歌われる曲はディランのものだ。だが登場人物の名前は変えられているし、映画はときにドキュメンタリー風になったり、幻想的になったり、コミカルになったり、と自在にスタイルを変化させる。つまりあくまでフィクションなのだ。なぜなら作り物でなければたどり着けない純粋さというものがあるからだ。そして今作はそれに成功している。
 また『エデンより彼方に』で50年代の映画の映像を見事に甦らせ映画ファンを心酔させたトッド・ヘインズ監督、そして撮影のエドワード・ラックマンのコンビは、今作でもカラーフィルターを巧みに使用した技巧的映像を堪能させてくれる。非常に美しい。

 
 



 ボブ・ディランの偉大なる名前に引っぱられて、多くの評がおしなべて「ディランの多面性を描ききった」というような書き方をしているが、当たり前のことではあるが、描き切れてなどいない。たかが2時間と少しの映画で、人の生涯は描き切れたりしない。6人どころか12人で4時間演じたって、それは同じことだ。そもそもそんなことは問題ではない。
 映画というのは「なぜ作られたか」ということを最も念頭に置いて考えるべきだ。たいてい大きいのはビジネスの理由。ベストセラーとか、ヒットドラマがあるとか、その他いろいろ。2つ目は、作り手の理由。作りたいものを作れる一握りのクリエイターの作家性。
 本作は大きな予算をかけたものではなく、ディランの何かの記念でもなく、先にヒットした原作があるわけでもないのだから、これは監督の理由によるだろう。
 なぜ監督トッド・ヘインズはボブ・ディランを描こうとしたのか? 映画の本質はここにあるはずなのだ。ディランはあくまで素材である。レストランで出された料理ににんじんが使われていたからといってそれをただ「にんじんの料理」としてしまっては不十分だろう。にんじんを使った某かの「シェフの料理」のはずである。
 ヘインズは多面的なディランのアイデンティティを分解してみせることで、僕やあなただって心当たりがある「何人かの自分」について切り込もうとしたのである。だからやはり「6つの時代」を持つパブロ・ピカソを取り上げてもよかったはずだ。
 人間の内面は到底統合されたひとつではない。誰でも時に詩人、時に革命家、時に放浪者である。しかし、にもかかわらず「ひとつ」でしかありえないのだ。人格を分解してのちヘインズは、ラストで鮮やかにこの深奥にまで踏み込んでみせる。

 
 
 
*変更の可能性があります      
    〜5/9(金)
 


チェスト!


映画 クロサギ


うた魂♪


魔法にかけられて
(字幕版)

フィクサー
 
    〜5/16(金)
 


アイム・ノット・ゼア
PG-12


クレヨンしんちゃん


大いなる陰謀

クローバー
フィールド(PG-12)

 
    5/10(木)〜
 


隠し砦の三悪人


光州5.18 (PG-12)


最高の人生の
見つけ方

ミスト (R-15)


 
    5/17(土)〜
 


チャーリー・
ウィルソンズ・ウォー


マンデラの
名もなき看守




 
                                   *サムネイルをクリックすると公式HPに飛びます


メルマガ形式で情報提供! ぜひご登録を。上のバナーをクリックして下さい。






エキュート立川主催試写会開催! 応募期間5/1〜5/11 1,000円以上お求めの方に応募券進呈。
開催日5/29(木
) 20:30 100組200名様

子育てサークル「いれかわりたちかわり」協力「これからママさん&産みたてママさん」限定試写会も開催!
  詳細はこちら

vol.10 『乱』前編 


映画を作り上げるまでの、その過程における情熱をメイキングから読み解く。
このコーナー。
ナビゲーターのK・ベネンヘリです。

今回のMAKING! TOKYOは番外編と銘打ちまして、
とあるイベントのレポートをお届け。
いやいや決して、メイキングネタが無くなったわけではありません。
情熱を汲み取る事だけが主旨のこのコラムに、
取り上げるテーマは関係ないのです(実際はかなり追い込まれておりますが…)。

とある方々のお誘いで、
5月3日。(ジェームス・ブラウンの誕生日ゲロッパ。)
アミュー立川で行われたイベントにお邪魔してきた。
その名も『ナイスガールプロジェクト祭り』。
このイベント。
簡単に説明するのであれば、つんく♂がプロデュースする
アイドルグループ 『THEポッシボー』と『キャナーリ倶楽部』の
所属するNICE GIRLプロジェクトのイベントである。
このプロジェクト、実はかなり立川にゆかりのあるプロジェクトで。
定期的に立川でイベント・ライブ活動を行い、
『キャナーリ倶楽部』においては
立川南口商店街の応援ソング「青春万歳!」をリリースするなど
かなり詳細に、かつ具体的に立川推しを実行してくれている
情熱的なプロジェクトなのである。
そんな彼女たちの、特に今回は『THEポッシボー』の
メジャーデビューイベントという事で、
立川に勤める身としては行かない理由が見つからないわけで。

現地のアミュー立川に到着。
もはや、一目見てそれとわかるほとばしる情熱の嵐。
おそらく、全国各地から終結したであろうファンの方々の
虎視眈々と何かに備えるその目。
ふと私はこの時、「これはどこかで見たことがある。」と思ったのである。

そう映画『乱』のメイキングである。
映画もクライマックス。
主演の仲代達也が焼け落ちる城から半狂乱のまま現れる。
当然、城は本当に燃えている。一発勝負である。
事前に綿密な打ち合わせを行い、
火薬・燃料の量も、カメラの位置取りも正確に決められている。
ふらつきながらも、威厳を持って階段を下りる仲代達也。
下りていくその足取りも黒澤監督と共に
細かく演出した結果である。
燃え盛る城。動じない仲代達也。
メガホンで、もはや罵声とも取れる指示を出す黒澤監督。
カメラアングル外を走り回るスタッフ。

「燃え落ちる前に画を抑えなければ。」

仲代達也を取り囲む数百もの兵士たち。
現場には鎧がカシャカシャと擦れあう音と
城が燃えるパチパチという音のみが響く。
その時の何か事が起こるであろうシュチュエーションに
身を置く兵士たちの目。
「それである。」
その緊迫感をファンの方々の溢れんばかりの情熱に見た。
真剣勝負の始まりである。男の戦場である。
果たしてどこが終着点なのか。
そして、どこが出発点なのか。もはや誰にも分からない。分かりたくない。
だって公演が始まる前だもの。

今回はとある方々のお誘いだったので、
2階にある関係者席に席を用意して頂いた。
ここなら、良く舞台が見渡せる。
1階席には、先ほどのファンの方々が早くも情熱を放出されていた。
そんな光景をぼんやりと眺めていると、何故か、一斉にファンの方々がこちらを凝視してきた。
リアルに仲代達也状態。もはやこれまでである。
さらには、ファンの方々こちらに向け手を振ってらっしゃる。
なんと、これはマズイ。数々の女性にフラれなれてはいるが、
男性の、それもかなりの数の情熱家たちに手を振られるとどうして良いものか。
これに応えられるのは、照英氏かカート・ラッセル氏のみである。
(なんだか似てます。それだけです。)
軽くパニック、いや相当パニックである。
この時のパニック度は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の
ラストの時計台のシーンで、電源コードのジョイントが
抜け落ちた時のドクに匹敵するほどである。
そんなパニック状態ながら、彼らの視線の先が私より後ろにある事に気づく。
どうやら、NICE GIRLプロジェクトの他のメンバーが、
この回を見学に来ていたらしい。
何たる情熱。もはや公演に出演しないメンバーの来場ですらこのテンション。
一体公演中には何が起こるのであろう。
期待が膨らむ中、ホール内に上演のブザーが鳴り響いた。

次回『怒涛の情熱放出大会』に続く。


 いよいよ3D映画時代訪れるか?

 日本ではまだまだだが、アメリカでは数年前から3D映画が浸透し始めている。
 ずいぶん前だが『チキン・リトル』はアメリカでは2Dより3Dのほうが興行成績が良かったという。

  『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『ポーラー・エクスプレス』『ルイスと未来泥棒』『ベオウルフ』『スーパーマン リターンズ』などは日本でも一部劇場で3D版が上映されたのでご覧になった方もいらっしゃるだろう。『甲殻機動隊』を3Dで作るというニュースも最近あった。

 今年は目玉として『センター・オブ・ジ・アース』、そして来年はドリームワークスが開発したという「Ultimete 3D」(アルティメット=究極)という技術で作られたというアニメーション『Monsters vs.Aliens』、ジェームス・キャメロンのSF『AVATAR』が公開される。そしてどうやらこれらは「革命的に」スゴいらしい。
 
  3D映画、と言ってもしかし新鮮な響きはないのが実情だ。だって、僕が小学生の頃にはディズニーランドに『キャプテンEO』があったもの。マイケル・ジャクソン主演。フランシス・フォード・コッポラ監督作品。僕にとってはいまだあれが究極の3D映画であって、マイケルは最高だ。
 
  新宿と品川にあった「IMAX(アイマックス)シアター」にも何度か行った。これは行ったことある方も多いだろう。『愛人ラマン』とか『子熊物語』の名匠ジャン=ジャック・アノーが監督した『愛と勇気の翼』(サン=テグジュペリ原作)とかジェームス・キャメロン監督のドキュメント『タイタニックの秘密』とか観たなあ。あと子どもがニューヨークを歩き回るデモ的な作品があったと思ったけどタイトルを失念。

 笑ってしまうくらいむやみにデカいスクリーンと、老人子どもが何人も転がり落ちているのではないかと思わせるくらい急勾配な劇場は、なかなか非現実感が高く、3D映画の場合は変なヘルメットみたいなものを被って観るのだが、それは3Dメガネとしてだけでなく、小さなスピーカーがついていて、セリフなんかはそこから流れるようになっていた(はず)。
 前の人の頭がひざより下にくるくらいだから、ほぼ視界全部がスクリーンとなり、ものすごい迫力だった。が、まず新宿タカシマヤの上が閉鎖、普通の映画館(テアトル新宿)に変わり、品川も去年の春に閉館してしまった。3Dではないが、巨大スクリーンをいかしてローリング・ストーンズのコンサートをとらえたものも上映されたりしたのになあ(監督はジュリアン・テンプル)。

 なのでなにをいまさら「3D」って…という気がしないでもないが、今話題になっているのは普通の映画館で3D映画を上映できる装置が(撮影側も劇場側も)普及し始めてきた、ということなのである。『スパイキッズ3-D』みたいに、劇中「さあ、メガネをかけて!」の呼びかけで赤青のチープな紙メガネをかける、みたいなレベルではなく、メガネは必要だが、ちゃんと一本丸々観られる長編3D映画が普及し始めたのだ。
 
 3D映画上映には今主流の方式が2つあって、ひとつは「Real D」といい、もうひとつは「Dolby 3D」([FOR PROFESSIONALS]→[Motion Picture])という。お互い長短あって、映写装置を入れるのは同じだが、「Real D」はメガネが激安(5セントとか)だが、スクリーンを張替える必要があり、「Dolby 3D」はスクリーンはそのままでいいが、メガネが激高(50ドル。さすがに回収して使い回し)だという。
 日本では「Raal D」を採用しているのがワーナーマイカル系列で、「Dolby 3D」を採用しているのがT・ジョイ/バルト系だ。

 アメリカでは2010年までに3D上映ができるスクリーンが7000館になるとまで予測されているらしい。(とりあえず今のところは)家庭のテレビでは同クオリティでは観られず、しかも3D映画は海賊版が作りにくいときているから、これは映画業界が頭を抱えているやっかいな問題「なぜ映画を映画館で観なければならないのか?」に解決策を提示できる。料金も値上げしやすい。

 でも何となく日本では受けが悪い、という気がする。
 例えば過去の日本の絵画を見ても、西洋のように透視図法を駆使した奥行き感のあるリアルな絵画は生まれなかった。
  「リアルに近づければ、リアル感が生まれるというわけではない」という感覚が日本には伝統的にある。芝居で血しぶきをさっと赤い布をひくことで表現する、といったようなことだ。
 そんな大げさな話をしなくても、今までも数年に一回くらい「立体ブーム」は起こっていて、目を寄せるとCGのノイズみたいなものから飛び出す本が売れたり、インスタントカメラで立体写真が撮れるものが発売されたり、シャープから立体映像ケータイが発売されたりしたが、見事にほとんど消え去っている。

 とはいえ、アメリカが本気出して3D映画を作りはじめたら、これはもう映画館も対応せざるを得ないだろう。アニメーションだけならまだしも、『タイタニック3D』的なものが出てきたら、もう一発で日本中変わらざるをえない。またはジブリの新作が3Dになるとか。『天空の城ラピュタ3D』なんてかなり観たい。
 でも今のところ日本で長編立体映画の企画はゼロらしい。

 だが面白いことにお隣の韓国ではすでに製作中のものがあるという。しかも韓国には立体システムを作る会社もある(Master Image社)。以前のワールドカップの立体中継というのもあったし、なかなか立体に積極的なのだ。
 ただ立体放送、BS11で始まって先月ヒュンダイから対応のテレビが発売されたというのでビックカメラに見に行ってみたが、うーん…。
 ちょっと見る角度がズレると画像がブレてしまうし、早い動きがあると軽いめまいに似た感覚が起こる。正直これが普及するとは思えないのだ。
 つまりテレビではまだかなり難しく、映画が先行できるということと考えていいのだろうか。

 新しい3D方式は次なる映画の時代を拓けるのか?
 率直に言うと、個人的にはあんまり期待していないが(笑)、とにかく新しいもの好きでもあるので、アメリカ映画界の技術力を見せつけてもらいたい。来年が楽しみだ。

今週の顔

ボブ・ディラン。ミュージシャン。『アイム・ノット・ゼア』上映中。コメントはウィル・スミス出演の映画のタイトルから。この絵にふさわしい言葉だと思い。
ちなみにこの映画の原題は「Six Degrees of Separations」(六次の隔たり)。これは6人以上の知り合いを介すと間接的に世界中の人間と知り合いになれる、という理論的仮説。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス。mixiなど)のコンセプトに使われる。この映画の元になった戯曲からネーミングされている。『アイム・ノット・ゼア』ではクリスチャン・ベイルだけ二役演じているが、これと何か関係あるのだろうか?

ご意見、感想お待ちしております … seek@cinemacity.co.jp  
バックナンバーはコチラから
 

◇メルマガ名  シネマシティメールマガジン『SEEK』
◇発行人サイト シネマシティ http://cinemacity.co.jp/
◇責任者名   シネマシティ株式会社 SEEK編集部 遠山
◇登録ページ   http://cinemacity.co.jp/magazine/
◇解除ページ   http://cinemacity.co.jp/magazine/
このHTMLメールを受信したり、読むだけでコンピュータウイルスに感染されることはありません。
HTML文と画像ファイルへのリンクのみをお届けしています。JavaScriptやActivexは使用していません。
メールマガジン配信システムの仕組み上、添付ファイルは配信できません。
このメールマガジンの 内容により損害を被った場合、一切の責任を負いかねます。
このメールマガジンの著作権は、シネマシティ株式会社に帰属します。一部を改変または省略し、無断で転載掲示するなどの一切を禁じます。