祝マリオン・コティアール主演女優賞受賞!
アカデミー賞、今回はシブかったね。まるでカンヌ化。
なにしろ、作品賞のノミネート作品が全部単館系(ないしはそれに準ずる小規模)のものときている。アカデミー賞を受賞したコーエン兄弟の『ノーカントリー』でも都内9館だけでの上映にすぎない。『ロード・オブ・ザ・リング』や『ディパーテッド』とは桁違いだ。
ハリウッドがあげる賞なんだから、ウソでも大作娯楽映画に獲ってほしいものだ。『ノーカントリー』ではアカデミー受賞の看板にひかれてご覧になった多くの方が、「なんだこれ?」となるのは避けがたいわけで(そもそもそういう人をくったような作品で名を挙げた監督なのだから)、そうすると映画館の人間としては「アカデミー賞」の看板が信用ならないということになりはしないかと心配である。…個人的にはコーエン兄弟はかなり好きなのだけれど。
話は冒頭にもどって、主演女優賞がマリオン・コティヤールというのだから、こっちも異色だ。
フランス人女優が受賞したのは49年ぶりで、そのとき獲ったのはシモーヌ・シニョレ…ってもはや伝説の域。剛山の大好きな監督の一人、アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの傑作『悪魔のような女』で女教師やってた人。『輪舞』なんていうAからB、BからC、CからDといろいろな人間模様、恋模様がつながっていき、最後にAに戻るという面白い形式で作られた映画にも出ていたなあ。これも傑作。
そんなシニョレと肩を並べることになるわけだが、しかし『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』をご覧になった方なら、文句は出まい。いや、すごかった。絵に描いたような神懸かり芝居。演技ではなく、芝居といいたい。何が違うかうまく説明できないが、あれこそが芝居というものだろう。アカデミー賞、よくやった。
話変わって、近頃『パンダコパンダ』応援団にものすごい時間を取られてしまい、全然試写に行けてないので、毎月恒例の試写会速報が書けないのだが、今回作品賞にノミネートされていた『JUNO/ジュノ』(アメリカの公式HP)はひと足お先に観させていただいたので紹介。
これ、とってもおすすめ。全米でたった2館の上映からスタートして、2000館にまで増えたというミラクル大ヒットを飛ばしただけある作品。なにしろ脚本家が元ストリッパーで、ブログが面白いからって理由で脚本を書かせてもらったという破天荒。デビュー作でいきなりオリジナル脚本賞受賞。なんという数奇な運命だろう。
物語はロック好きサブカル系少女が、全然イケてない「愛すべきマヌケ」な少年とちょっとした好奇心でセックスしちゃって、妊娠してしまうというコメディ。これがふたりとも16歳だからやっかい。産んで育てるわけにもいかないので、子どもを求めている夫婦に養子に出すことにする。
ヒロインは悪い子じゃないんだけど、とにかく口も態度も下品で乱暴。子どもがほしい、品のいい夫婦に会いにいっても「まだシーモンキーみたいだから、もうちょっと可愛くなったら絞り出して宅配するわ」なんてドン引き発言を繰り返す。自分も子どもだし、全然「命」の実感なんてない。そんな少女が、でもやがてどんどんお腹がふくらんでいって…。
監督はデビュー作にしてピリッとスパイシーな秀作風刺コメディ『サンキュー・スモーキング』を撮ったジェイソン・ライトマン。これで1作目がビギナーズ・ラックでなかったことを証明。ついでに確実にオヤジさんより知的で才能があることも証明(笑)。オヤジさんはアイヴァン・ライトマン。『ゴースト・バスターズ』『ツインズ』の監督。
女子高生の妊娠、なんてスキャンダラスな題材を日本でやったら、じめっとしたケータイ小説みたいな過剰センチメンタル映画になってしまうが、知性とユーモアと愛情があれば、こんなにも優れた映画になるんだという見本。ヒロインのジュノも、まわりの人間も、ものすごくカラっとしてあっけらかんだから、逆にリアル。笑えるし、芽生えてくる優しさには小さな涙もこぼれる。
もちろんシネマシティでも上映予定。6月。もう予告流してます。少女とかつて少女だった女性と、母親とこれからの母親に、観て欲しい(おいおい、という人もいるかもだけど)。
今週の顔 |
谷村新司。現在上映中の映画とはいっさい関係ない。だが、アリスの名曲「チャンピオン」だ。藤崎マーケットではなく、アリスこそ映画宣伝に使うべきだったのではないか『ライラの冒険 黄金の羅針盤』。こっちのほうが連呼する回数は多い。そりゃサイモン&ガーファンクルを使えたらそっちのほうがいいかも知れないが、アリスだって負けてないはずだ。 |
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