プルーフ・オブ・マイ・ライフ

監督■ ジョン・マッデン
      (『恋におちたシェイクスピア』)
出演■ グウィネス・パルトロウ
      (『愛しのローズマリー』)
     アンソニー・ホプキンス(『羊たちの沈黙』)
      公式HP こちら
(C) 2004 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

  『恋におちたシェイクスピア』コンビ再び! といった売りではあるが、中身は割と辛口。
 題材が数学、しかも狂気の天才の画期的で高度な数式をめぐるものと聞いて、一体どう見せるのかと思ったら、この「証明」を行ったのは、天才の父か、その娘か? というミステリーを骨組みに組み立てていくというものだった。見事。
 アンソニー・ホプキンスはさすがの貫禄。天才数学者の目の奥に、不意に瞬く狂気の光を体現する。
 グウィネス・パルトロウが、父親の病が自分にも発症するのでは、と怖れる娘を見事に演じている。気分の浮き沈みが激しい上に、あまり可愛げのない女性を演じて、それでも魅力ある人物に仕立て上げられたのは彼女の功績。
 原作は数々の賞を受賞した『プルーフ』という戯曲。舞台でも、主人公をグウィネスが演じた。 

 

 戯曲の映画化、というのはなかなか上手くいくものではない。例えば最近なら『笑の大学』、舞台はある批評家をして「戦後日本で作られた最高の喜劇」とまで言わしめたものだったが、映画はその境地には全然達していない。緊張感を映像が維持できていない。
 上手くいったものでは例えば隠れた傑作『摩天楼を夢見て』があるが、これは極端なアップを多用するという「映画的策略」が成功した。
 『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』の策略はこうだ。「過去と現在を一瞬もとどこおることなく交錯させていく」。これは実に「映画的」と言えよう。
 カメラはとにかく滑らかに動き続け、時間軸は二重螺旋のごとく絡まり合い、天才の書く数式はさもありなん、という具合に、「謎」に向かって緩むことなく「証明」を重ねていく。少なくともこの数学的脚本と編集は、確実にアカデミー賞ものだ。



時間表はこちら
http://cinemacity.co.jp/webReservation/calendar.do

『輪廻 PG-12』  『キング・コング』
『るにん R-15』 『銀色の髪のアギト』
『ロード・オブ・ドッグタウン』  『疾走 PG-12』
『SAYURI』 『スタンドアップ R-15』

 

『単騎、千里を走る』 『RIZE(ライズ)』
『B型の彼氏 吹替版』 『オリバー・ツイスト』
『フライトプラン』 『最終兵器彼女』
『悪魔の棲む家 PG-12』『ホテル・ルワンダ』


 特報第二弾!知る人ぞ知る、公開が見送られそうになったところを、映画ファンがインターネット(mixi)で集まり署名運動を起こして公開までこぎ着けたことで話題になった『ホテル・ルワンダ』を、シネマシティでも上映します!(1月28日(土)〜2月10日(金)予定)。
  すでにスタートしているシアターN渋谷では、大ヒットとのことですが、さて、立川ではどうなるでしょう。今までも都内でヒットのミニシアター系作品も立川へ来ると「あれ?」ということがほとんどだったんですけれど、今回ばかりはシネマシシティは上映運動に(ほんの少しだけ)かんでいたので、なんとしてもヒットさせたいところなのです(この上映を求める運動について下のコラムで書いてみましたので、ぜひ)。
  上映が決まっている映画館の中で最高の音響は保証します。都内のお友達も誘って観て、みんなでワイワイ、過去の歴史を省みながら不穏な現代について語り合おう!


追記:2月は奇しくもシネマシティではドン・チードル出演作品を3本も上映。地味に祭です。あとの2本は『クラッシュ』 『ダイアモンド・イン・パラダイス』。ファンの方、通って下さい。

公式HP … http://www.hotelrwanda.jp/
「ホテル・ルワンダ」公開を応援する会 … http://rwanda.hp.infoseek.co.jp/

(C)2004 Kigali Releasing Limited. All Rights Reserved.

vol.4 ホテル・ルワンダ上映への道

 『ホテル・ルワンダ』――――1994年に起こったルワンダ大虐殺事件の渦中、敵対する部族1200人の命を救った一人のホテルマンを描く、実話の映画化。日本公開が危ぶまれていたところ、インターネット(mixi)で有志が集まり署名運動を展開。それをきっかけとして、この度公開の運びとなった。

 シネマシティでも急きょ上映が決定しまして、当然試写などにも間に合わず、行って参りましたシアターN渋谷。元ユーロスペースがあったところにリニューアルオープンのような形で出来た劇場です。
  先週お約束したとおり、この映画の魅力を皆さんに出来る限りちゃんとお伝えしようと、愛用しているAURORAの銀のHASTIL(万年筆)とHIGH TIDE のクリップボードを持参して、観てすぐに原稿を書く準備は万端、到着しました渋谷駅。
 日曜といえど、21日(土)からは2スクリーンに拡大、上映回数も倍となれば余裕ですよ。だいたい、あんな政治的で、しかも虐殺事件、それでルワンダってどこ? みたいな作品、当たるわけないんですよねー…って、おーーい、3回先まで満席立ち見ってどういうことですの?

 いや、実は「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」の作戦会議にのこのこと出ていって、「業界人」を気取り、
「君たちねえ、ちょっと考えが甘いんじゃないの? こんな地味な映画お客さん入るわけないじゃない。ヨン様出てないんでしょ? ダメだよ、それじゃあ。こっちはねえ、伊達や酔狂で映画掛けてんじゃないんだよっ!」(参照)
 といった主旨の、利いた風な口を叩き、「会」の未来を暗黒に塗りつぶしたのが私、剛山でした。
 何故かって、当時(昨年夏頃)ウェブで署名を集め始めるも、思うほどには集まらず、「会」の活動といってもわずかばかりのチラシを作って、都心のめぼしい映画館に配るというくらい。「会」の皆さんには悪いですが、客観的に判断してかなりキビしい状況でしたよ。

 実のところ、シネマシティでは場合によってはウチで配給しよう、というところまで可能性として考えておりました。しかし「会」の方のお話だと、一説には配給権が「1億円」というじゃないですか。
 考えてみて下さい。映画料金は1800円、割引なんかを含めると、一席の平均は1300円くらいです。「1億円÷1300円≒7万7千人」です。7万7千人ですよ。1回の上映の平均が100人だとして(これでもかなりのヒットです)、770回上映しなきゃならない。1日に4回上映として、半年続ける計算です。ジブリ映画か『タイタニック』級です。
 で、これだけやっても「トントン」ですよ、それも「配給権分」だけがですね。これに宣伝費から人件費、諸経費を入れたら、1年間コースです。ありえない。少なくとも1館や2館でどうにかなるものじゃないことはおわかりでしょう。シネマシティには配給の経験もないし、これは相当のリスクだったわけです。
  『ホテル・ルワンダ』の公開の目途が立たない、ということが喧伝され始めると、こういう事を言う人がいました。
「このような社会派の良作が公開されないとは、日本の文化程度が知れる」
 じゃあ、おまえが1億円用意しろ! タダじゃないんだよ、文化ってのは「金」なんだ! …とその時は、IT長者風のことも言いたくなったものです。

 夏も終盤に差し掛かり、 運動もどんどん協力者が増えていき(など。とりわけ映画評論家町山智浩氏はただの協力者というだけではなく、この運動を起こす大きなきっかけを作られました)、ブログを立ち上げほぼ毎日更新するなど皆さん様々に奮闘されていましたが、ブレイクスルーな展開はなく、 ただ続けていても仕方がない、10月を目途に運動を打ち切ろう、というような流れになっていたところ、9月下旬頃、突然の「配給が決定した」との知らせ。そこからは雑誌やTVでたくさん取り上げられるなど、とんとん拍子で話が進んでいき、現在に至ります。本当に「幸福な」作品です。
 
 基本的に映画というのは家族の団らんのためや、友だちでワイワイやるためや、恋人たちのためにあるわけです。1人で映画を観る人の少ないこと。映画を観て、何かしら学ぼう、考えようという人の少ないこと。どれだけの人が、好きこのんでアフリカの内政問題について議論するために、休日の何時間かを潰すでしょう? 観賞後陽当たりの良いオープンカフェで、対立を生む政治構造について現在の政情と比較を交え論じたところで、恋人の表情は白けていくばかりです。公開を見送った最初の判断は、簡単に間違いと言えるでしょうか。僕は今もそうは思いません。

  …あの、でも 僕だってデートの時には『ザ・コーポレーション』や、『ジャマイカ 楽園の真実』なんか絶対に選びませんよ。そんな野暮な男じゃない、基本的にロマンティック専門です。今なら『僕のニューヨークライフ』だな。ウディ・アレン最高。

 そんな中で、僕や、これを読んでくださっているあなたは、少数派、マイノリティなんです。よく「日本人の年間平均映画鑑賞回数は1〜2回」なんて言うけれど、そんな数字はまるっきりウソです。僕や、あなたが年に10〜100回観ているだけなんだ。
 だから僕たちが自分の「いつも観ているタイプの映画」の中に、年に1、2本でもいい「いつも観ないタイプの映画」を入れるだけで救われる作品があるはずなのです。…寄付かって? それは違います。このことは僕らの世界を拡げることにもつながる。
 例えば、 都会派でならした僕ですが、年明けすぐに『マサイ』を観に行きました。マサイの戦士たちは「弱気になる」ということの意味がわからないそうですよ。つまり全員すごい強気。ウディの作品からはそんなこと学べなかったな。観て良かった。

 「金・金・金」のイヤな世の中ですが、逆手にとってやればいいんです。「需要」を作り出せばいいんです。観客がいることを、示すのです。それは街中にスピーカーで声高に叫ぶ必要なんてなく、ただ黙ってチケットを買えばいいのです。それだけで変えることができる。これは資本主義の良い面でしょう。

 そして僕のような「知った風な」人間を見返して下さい。何度でも、何度でも、席を埋め尽くして、僕を劇場へ入れさせないで下さい。そのたびに僕は、何も観られなかったにも関わらず、満たされて帰途に着くでしょう。
 もし、僕が何もせず帰宅することを何度も繰り返すほどになったなら、第二、第三の『ホテル・ルワンダ』が製作され、今度こそ全国公開される日が来るかもしれません。こんなポスターが日本中の映画館に、誇らしげに貼られる日が、いつか来るかもしれません。

  あの『ホテル・ルワンダ』をも超える感動! ――――1人の男の情熱が、2000人くらいを救う! ぺ・ヨンジュン主演『ホテル・ウガンダ』!
 
  …道のりは平坦なばかりではない。されど、歩みを止めることなかれ。

 いよいよ投票期間も残すところあと2日、やはり作品選択にムリがあったのか、前回に比べ総投票数がなんと -60%増 やったー! やってしまったーっ!
 『オープン・ユア・アイズ』と『マルホランド・ドライブ』が熾烈なデッドヒートを繰り広げ、終盤に来てまだ予断を許さない展開を迎えております。このまま『マルホランド・ドライブ』が勝ち抜くのか、いやいや、土壇場で『ピストルオペラ』が猛追をみせるのか? 普通な映画がお好きな方にはまったく興味がない、TV中継が始まる前の相撲の試合のような様相を呈してきております。

 …しかし、これ上映して本当にお客さんいらっしゃって頂けるんでしょうか? 眠れない夜が続きます。もう本当に心からのお願いなんですけど、せめてSEEK読者様だけは、見捨てないで下さいね。大コケしたら、2度とこんなユカイなラインナップそろえられないですよ。観たくなくても観に来てください。お願いします! 
 本当に、傑作ぞろいなんです。投票権があるのに投票しないなんて…そんなの、ひどいですよ!
 まだの方、今すぐ、さあ、投票を!

  →こちら (投票はシネマシティズン会員様限定です)。


 映画は映画館だけで掛かっているわけじゃない。
 これをお読みの方はすでにご存知かも知れないが、意外なところで映画って観られるものなのだ。
 しばらく映画と全然関係ないことばっかり書いて物議を醸し出していたので、今週は映画館のメルマガっぽいことを書こうかと思って、そんないくつかをご紹介(まあこれもギリギリな企画ですけれども)。

ドイツ文化センター
 いきなりこれ、意外でしょ?僕は以前ここで行われた「ヴェルナー・ヘルツォーク 回顧展」に通ったなあ。体育館みたいなところでパイプ椅子並べての上映。夜だったんで閉まってたんだけど、この建物のなかにレストランがあって、おそらく本場以外の何ものでもないソーセージを出していたのが気になった。上映は不定期なので、情報誌とかHPでこまめにチェックするしかない。

アテネ・フランセ文化センター  東京日仏学院
 やっぱり、フランスは違うね。文化の国ですよ。定期的に上映を行っている場所が2つもあるなんて、さすが。しかも商売でやってたらなかなか掛けられない作品をきちんと上映してくれる。フランス映画だけでなく、日本映画にも力を入れてくれているのが素晴らしい。

東京都写真美術館
 ここは知っている方多いんじゃないかな。恵比寿のガーデンシネマに行く途中にある。若手の監督の作品や、商業ベースに乗りにくい作品を上映している。時折大きな特集上映があるので、ここも「お気に入り」に入れて時々チェックを。

シネマバー ザ・グリソム・ギャング
 実はまだ行ったことがない。だがこんな店、ちょっと僕もやってみたい。でもこれほどの小さな空間だと、見知らぬ人に映画問答のひとつでも吹っかけられて、
「エイリアンシリーズで最高傑作はどれだ?」
「あ…はい、3だと思います」
「バカ野郎!最初のに決まってるだろう!帰れ!」
というようなことになったらどうしようと思うと、億劫になる。何と言っても「ギャング」という店名が威圧感がある。せめてグリソムはいいから、「ブラザーズ」だったらいいのに。でも近いうちに必ず行きたい。

三鷹ジブリ美術館
 いわずもがな、のラストになってしまったが、一応説明しておくと、この美術館内に「土星座」という小さな映画館があって、原則1入場に1本、15分程度の短編アニメーションを観る事ができる。その作品はもちろん、宮崎駿監督作品も含まれる。
 実はつい最近行ってきて、この間発表になった新作3本を観てきた(その日は3本観ることが出来た。幸運)。3本とも画風もジャンルも全然違うが、全部宮崎駿監督作。
 ちょっと余計なことを書くと、正直ジブリ作品と共に育ってきた僕は、今までの作品は無批判で全肯定してきたのだけれど『ハウルの動く城』にはちょっと不満だった。あの城は素晴らしい。だがいつもの「神がかり的なフレーズ」が出なかった。ああ、宮さんもついに…。
 いやいや、それは全く杞憂だった!この3本、どれも大傑作である。もうぜひ、ぜひ、観て頂きたい。天才の仕事がここにある。
  『水ぐもモンモン』は水ぐもの世界をユーモラスに描きつつ、アメンボの少女との淡いロマンスを描く。水ぐもとアメンボとの刹那の恋! このねじれたユーモアといつもながら小さな日常にアドヴェンチャーを生み出していく魔法。
  『星をかった日』は、劇場公開作品に何の遜色もない絵のクオリティ。魔法と未来と郷愁が同居する独特の世界。『On your Mark』の時のように状況説明を大胆に省き、目の前に起こっている事象だけで観客を中に引きずり込む。たった15分のためだけに、これほどの「世界」を作ったというのか? ぜひ長編化して欲しい。10回観る。
  『やどさがし』はあえて説明しない。なんと、矢野顕子とタモさんを起用。小さな子どもたちからそのお父さんお母さん、お年寄りまで、みんなみんな大爆笑。いわゆる実験作だが、こんな楽しい実験なら何度でもやって欲しい。劇場が一体になるひとときを味わえる、のびのびとした幸福な作品。

 まだまだあるのだが、とりあえずこんなところで。なんかここんところ、このコーナー全然「編集後記」なんてものじゃなくなってきたな。

表紙の顔… 高倉健。中国の巨匠チャン・イーモウ監督作品。『単騎、千里を走る』主演。その根強い人気は圧倒的で、今回も大ヒットは間違いないと言っていいだろう。日本編は『ホタル』でもコンビを組んだ降旗康男が監督している。

ご意見、感想お待ちしております … seek@cinemacity.co.jp 

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◇発行人サイト シネマシティ http://cinemacity.co.jp/
◇責任者名   シネマシティ株式会社 メルマガ編集部 遠山
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